<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:61
プロフィール:地方都市の公務員となってそのまた片隅に家を構えて30年近く、自然豊かないい所なのですが、人間関係は独特です。
豊かな自然と小さな学校に惹かれて、妻(58歳)の実家にほど近い現在の地に居を構えました。
いまはもう統廃合されてしまいましたが、子どもたちはかつて少人数の学校でのびのびと育ちましたし、近隣もいい人が多くて住みやすいと思っています。
ただ、独特な価値観を持つ方がいてときどき悩まされました。
我が地区のゴミ置き場を長く管理をされていた女性(65歳)がそうです。
陰で「分別魔人」と呼ばれるほど厳しい管理を徹底されていました。
我が家も分別ができていなかったゴミをさらされるなど何度か気まずい思いをさせられましたが、1年ほど前に彼女は大病を患い、家に引きこもるようになってしまいました。
すると、みるみるゴミ置き場は荒れ始め、今更ながら彼女の献身に敬意を感じることとなりました。
分別を間違えたゴミや収集日の違うゴミが頻繁に出されるようになり、「収集不可」のシールの貼られたゴミ袋が目に付くようになってしまいました。
いままでは「分別魔人」の手でこれらのゴミは完璧なまでに処理されていたわけです。
こうした経緯があり、地区総会でゴミ問題が話題になりました。
そこで「ゴミ袋に必ず名前を書くようにするんだ。そうすりゃ変なごみがあっても責任が明らかになるだろう」という提案が出されました。
発案者は自称「アイデアマン」の元区長・Aさん(80代)です。
当人は自信満々で、元区長が言うことなので「なるほど、それはいい」と、忖度混じりの迎合意見が続きました。
そんな中、Bさん(40代の男性)が手を挙げました。
「いいとは思うのですが...でも、問題のあるようなゴミを出すのに、名前を書く人がいますかねえ...」
至極まっとうな意見でした。
するとAさん、急に語気を荒らげて一喝したのです。
「この地区にそんな悪党がいるはずがない! 間違って出しただけなんだから、きちんと後始末さえしてくれたらそれでいいんだ!」
地区の人に対する絶大な信頼は素晴らしいとは思いましたが...。
「でも、地区じゃない人が夜中にこっそり出すとかもあるでしょうし...」
Bさんがこれまたまっとうな意見を返すと、Aさん、それを遮るように言いました。
「そんなのは犯罪だ! 警察に通報してやればいいんだよ! 遠慮するこたあない!」
これまた一喝! さすがにBさんもこれ以上は無駄と思ったのか黙ってしまいました。
結局「名前を書いて出す」ルールが採用となり、それから1カ月ほどが経ちました。
もちろん、事態は改善されていません。
記名のない「収集不可」のゴミは相変わらずゴミ置き場に鎮座し続けています。
地区の役員さんは総会でのAさんの発言どおり、警察に通報してみたようですが、その程度のことで動いてくれるはずもありません。
まあ、これで警察が動くようなら、警察は些細な事件を何件も捜査しなければならないですし...。
するとAさん、今度は地区の回覧板に「意見文」を寄せてきました。
「決められたルールに従わず、記名せずにゴミを出す人があとを絶ちません。今度から予め名前の入ったゴミ袋を配付して、それ以外の袋を使わないようにしましょう」
この回覧板に合わせて、名前シールが貼られたゴミ袋が5枚ほど添えられてきました。
我が家が回覧板を回す先は、現区長のCさん(60代)です。
届けに行ったついでに聞いてみると、このゴミ袋はAさん自身が全地区分を用意され、Cさんのお宅に、腹の虫が収まらない様子で届けられたものだそうです。
「結局、この袋を使わないで出す人はいるだろうからねえ...」
Aさんの剣幕に、理を諭して引き止めることは難しかったようです。
まあこちらは言われたとおりにゴミを出すだけですが、なんの解決にもならないことを押し付けてくることには、ほとほとため息しか出ません。
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