<この体験記を書いた人>
ペンネーム:みけ
性別:女
年齢:52
プロフィール:両親と同じ敷地内に住んでいる52歳自営業。
79歳の母の話です。
2021年の3月に災害の特集番組が放送されていました。
見るともなしに見始めたのですが、出てくる災害は記憶に新しいものばかりで、中には地元で起き、自身も経験した災害も含まれていました。
当時は何が何だか分からないままに過ぎてしまい、気が付いたら普通の生活に戻っていたという感じです。
でも、改めて映像を見ながら振り返ると、自分たちの防災意識がいかに低かったかを思い出しました。
特に避難生活については「お粗末」の一言でした。
河川の氾濫が伝えられても避難をしようとは考えずに、自宅の2階にいればいいやと呑気に構えていました。
母に至っては「今のうちにお風呂に入っておこう」と入浴していたのです。
しかし、消防隊の人たちに声を掛けられ、土壇場で避難することになりました。
物も心も何の準備もしていなかったせいで、着の身着のまま出掛けてしまい、とても不便で不安な数日間でした。
そんな経験から、番組を見ながら失笑と共に家族で反省したのですが、特に母は深く考えるところがあったようです。
翌日から俄然張り切って「避難準備」に熱を入れ始めたのです。
最初に家電量販店に行って、昔からあるタイプの懐中電灯を購入したのですが、「コンパクトなサイズのも欲しい」「置いて使えるランタン型もあると便利」などと言っては、次々と増やしていきます。
さらには、各部屋に1個置くようになり、友人にも配り始めました。
そこまでは良かったのですが、懐中電灯熱が落ち着いてからは、「防災グッズ」にシフトチェンジです。
非常用持ち出しバッグに始まって、乾電池や携帯ラジオ等中に入れる物から保存食まで思いつくままに購入してきます。
家族それぞれの非難用バッグも作ってくれました。
至れり尽くせりのバッグができあがり、お金はかかったようでしたが、良かった良かった、これで安心です。
ただ、そう簡単には終わりませんでした。
熱が入った余りに、こだわりが強くなってしまった母は、買ったグッズに不満を漏らすようになりました。
「バッグがイメージと違って小さい」
「(保存食を)味見したら美味しくない」
「ラジオの操作がやりにくい」
そんなことを言っては新しいものを買ってくるのです。
毎日使う物じゃないのだから、そこまで追求しなくてもと思うのですが、納得してくれません。
意識していると目に付くのか「良さそうなグッズ」を買い続けています。
そして、不要になったグッズは放り出される結果に...。
やたら溜まっていくグッズを見ると、避難準備は大切だし必要な事ですが、無駄なことをしている気がしてモヤモヤしています。
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