<この体験記を書いた人>
ペンネーム:るーみー
性別:女
年齢:30
プロフィール:現在2人目を妊娠中。近くに住む義母が定年退職しパートタイマーになったので、同居も前向きに検討中...。
「アルコール依存症?」
「お酒が大好きな人やだらしない性格の人がなるんでしょ?」
「自分はお酒に強いから大丈夫」
「うちの人は真面目だから縁のない話」
そう思っていませんか? 私も同じでした。
始まりは4年前、私たち夫婦が結婚したばかりの頃でした。
義母(当時56)はフルタイムの正社員として働いていましたが、義父(当時62)はすでに定年退職し、普段は自宅で骨董品の手入れ、天気の良い日は図書館へ行って読書などをしていました。
また、料理にも興味があり、義父が夕飯を作っていました。
私たち夫婦も同じ市内(車で5分ほどの距離)にアパートを借りていたので、義実家に招待されて4人で夕食を食べることもしばしば。
のんびり余生を楽しんでいるように見えた義父だったのですが...。
ある日、夫が仕事帰りに義実家に寄ったときのこと。
「最近お父さん、ご飯もろくに食べずに寝てばかりで...どんどん痩せ細っていくの」
そう義母から相談されたそうです。
そこで「作りすぎたおかずのおすそ分け」という名目で義実家へ様子を見に行くと、出迎えてくれた義父はニコニコと元気な様子でしたが、二の腕が手首と同じくらい細くなっていてびっくり!
「食欲がないだけだから! いや~毎日家で暇してるとお腹も空かなくてね~」
義父はそう言っていたそうですが、夫によれば、ここまで痩せるのはおかしいと一目でわかるレベルだったそうです。
義母によると、いつも通り元気なときもあれば、話しかけても返事もせず居間でブランケットにくるまって寝ていることもあり、体調の落差が激しいとのこと。
病院に連れて行こうとしても頑なに拒否されるため、毎朝出勤前におにぎりを作って「ちゃんと食べてよ」と伝えることしかできないと話していました。
それから1カ月。
ついに義父は足元がおぼつかなくなり、トイレに行くため立ち上がって転倒。
そこから自力で起き上がることもできず、義母がなんとか説得して病院を受診しました。
診断の結果は、まさかのアルコール依存症。
義父は元教員で、定年まで中学野球部の監督をバリバリ務めていた、まさに「昭和の親父」といった感じの厳格な人と聞いていたのに...。
しかし、逆に考えると、教員と監督という仕事を長年生きがいのようにしてきたので、それらを同時に退き、情熱を注げるものが一気になくなって、喪失感があったのかもしれません。
骨董品の手入れや読書も、結局は「暇だからやるか」程度のもので、義父の心の穴を埋めるほどの趣味にはならなかったのでしょう。
そして依存症になる大きな原因は、料理の合間にお酒を飲む、いわゆる「キッチンドリンカー」になっていたことでした。
同居していた息子(私の夫)と娘がほぼ同時に結婚して家を出て、義父母の二人暮らしでは料理の作り甲斐がなくなってしまったのかもしれません。
毎日ちょっとしたおかずだけを作っては、空虚感を埋めるために合間にお酒を飲むようになったのかな...と義母と夫が話していました。
退職したばかりの頃は夫も義妹も義実家に住んでいて、仕事から帰ってくる我が子たちに手料理を作っては、味の感想を聞くのが楽しみだったようです。
痩せ細った理由は、料理中にお酒を飲んで酩酊状態になり、自分で作ったものを一切食べずに翌日まで寝入ってしまうようになったからだと思われます。
「アルコール依存症は誰でもなりえます。お酒に強いか弱いかとか、性格の問題ではないんです。元々お酒が嫌いな人がなることだってあります。気分を高揚させたい、つらいことを忘れたい―そういった気持ちでお酒を求めて飲酒が習慣化することで、いつの間にか依存症に陥るんです」
担当医からはそんな説明があったそうです。
その後、義父は点滴で回復し、入院することなく帰宅。
医師の紹介で依存症治療を行っている近所の心療内科に通うことになったのですが...。
「依存症ってほど飲んでるわけじゃないのに、医者っていうのは大げさだなあ~! 来た患者には絶対に病名をつけなきゃいけないと思ってるのか? これだから勉強ばっかりしてきた人間は!」
義父は豪快に笑っていました。
床に突っ伏して立ち上がることさえできなかったのに...義母は「先が思いやられるわ...」と呆れていました。
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