<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男
年齢:59
プロフィール:学校のいじめ問題が絶えないことには心底心が痛みます。特に被害者側へのフォローが足りないと考えています。
最近、ある中学校でいじめが原因で命を落とした女の子の話題をネットで見かけました。
ネット上では、加害者を守ろうとするわりに被害者をないがしろにする学校側の対応のまずさを指弾する声が多くありました。
それを見て、12年前、娘が中3だったときのことを思い出しました。
当時娘は、同級生の数人から無視されたり、物を隠されたりするいじめを受けていたのです。
高校受験に向けて仲の良い友だちと勉強会などもしていたので、友人関係に悩んでいることは全く気づきませんでしたし、弱みを見せたがらない娘はそういうことは口にしませんでした。
しかし、夏休みの奉仕作業で子どもたちのことが話題になり、娘の友人のご家庭から「うちの娘から聞いたんだけど...」といじめの事情を聞かされました。
まさに青天の霹靂で、一瞬どうしていいかわからなくなりました。
「ウジさん、PTAの役員もされてるし、学校に相談してみたらいいんじゃない?」
事情を教えてくれた方にそう促されました。
そのころ、行きがかりからPTAの役員に担ぎ出されていた私は、確かに学校には話をしやすい立場でした。
しかし、娘が自分からは言わないことを相談してもよいものか、しばし悩みましたが、卒業までの半年を嫌な思いで過ごさせるのは忍びなく、内密に相談することにしました。
驚いたことに先生方は事情をご存知でした。
「いじめというほどのものではなく、ちょっとしたいさかいというところですけどね...」
「娘さん、しっかりしているし、今は受験に向けてまっしぐらって感じですから、本人もそれほど気にしてないと思いますよ」
そうなだめられ、とりあえず話が広がらないようにしたいことと、これ以上ひどくならないようにしたいことをお願いして学校を後にしました。
1カ月ほど後にPTAの役員会がありました。
役員会では「生徒指導について」という、学校側から生徒の問題行動などの事案や対応についての説明を受ける議題がありました。
毎回、何がしかの報告があり、先生方も大変だなあと思っていました。
その日、突然校長先生から「役員でいらっしゃるウジさんのお嬢さんへのいじめの件ですが...」と話が始まり、耳を疑いました。
この場はプライバシーの問題から名前は出さずに報告するのが通例です。
学校としては、ちゃんと気にかけて対応していることをアピールするつもりだったのでしょうか。
「...生徒指導主任が、関係する生徒を集めて指導を行い、解決しましたのでご安心ください」
校長先生は私にどや顔を向けて話を終えました。
「いじめていた側は誰が関係してたんですか?」
会長さんが質問してくださいました。
「え? 必要ですか?」
と、怪訝そうな校長先生。
「いやあ、うちの息子だったら困るしね...」
冗談半分に会長さんが続けると、校長先生も軽く返します。
「それなら大丈夫。関係生徒の保護者には指導について連絡済みですから、連絡は来てらっしゃらないでしょ?」
「いや、でも被害者はわかってるんだから...」
私の方を見ながら他の委員さんが発言しても、校長先生は動じません。
「それは保護者がこの場にいらっしゃるし、報告として申し上げたからです。加害者側の更生を円滑にするためにはプライバシーを守らないとなりませんから」
被害者側はさらし者で、加害者は守る?
関係する保護者には連絡と言っても、私はこの場で初めて聞きました。
それともこれがその「連絡」のつもりなのでしょうか?
先生方にはくれぐれも内密に、とお願いしたはずなのに、保護者に詳細な報告をするなんてどういうつもりだ?
学校不信がひたすら高まった嫌な体験でした。
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