<この体験記を書いた人>
ペンネーム:さんた
性別:女
年齢:45
プロフィール:45歳の主婦です。
私の家から車で20分ほどの距離にある実家には、大きな桜の木が3本植えられています。
私が生まれる数年前に植えられた桜で、樹齢およそ50年になる大木です。
両親は庭仕事が好きで、自分たちで庭木の手入れをしていました。
しかし、2021年で75歳と高齢になる両親、だんだんと大きな桜の手入れができなくなりました。
数年前から自然に任せた結果、枝が屋根にかかるまで伸び、庭にほとんど日が当たらなくなってしまったのです。
他に育てている草花に日が当たらず、困っている母。
そこで、私が剪定してみよう! と思い立ちました。
私にとっては幼い頃から数え切れないほど木登りをした桜です。
久しぶりに登ってやろう! と張り切りました。
数十年ぶりでしたが体が覚えているのか、案外簡単に登ることができます。
地上3メートルほどまで登って太い桜の枝にまたがると、なんだか急に自分が若返ったような、なんでもできるようないい気分です。
私はすっかり調子に乗っていました。
早速ノコギリを使って太い枝を切り始めました。
電動ノコギリがあれば楽なのでしょうが、そんな便利なものは持っていません。
まずは細い枝を落とし、だんだん太い枝にチャレンジ。
しかし、普段からノコギリを使うことなど滅多になく、実はノコギリの正しい使い方もよく知らない私。
とにかくノコギリは引くときに切れるんだ! と自分に言い聞かせ、だんだん痺れてくる腕を力任せに動かし続けます。
10分もすると慣れない作業にクタクタ。
しかし数十年ぶりの木登りに興奮していましたし、両親が「すごい! すごい!」と喜んでくれる声に力を得て、無心でノコギリを動かし続けました。
太いもので直径20センチはあったと思います。
庭に日が当たるくらいまで枝を落とした後は、切った枝の解体です。
地域のゴミの回収に枝を出す場合は、決められた長さに枝を切り揃える必要があります。
木の上に比べて地上での作業で危険はあまりありませんが、とにかく数が多い。
張り切って落とした大量の枝を放置して帰るわけにもいかず、無心で数時間ノコギリを動かし続けました。
この歳になっても未だに両親に「すごい!」と言われたくて頑張ってしまう自分に、内心あきれていましたが、もうここまでくると意地です。
お昼に作業を始めたのですが、終わったのは20時でした。
それでも実家を出るまでは元気をよそおい、両親には「こんなの朝飯前よ!」くらいのことを言い放って帰宅しました。
しかし帰宅してしばらくすると、腕がひどく痛み始めました。
肘から肩にかけて腕全体に鈍痛がして我慢できないほどです。
左手で右腕を揉んでみたところ、痛みはさらにひどくなり、その日はクタクタだったにもかかわらず、痛みでほとんど眠れませんでした。
たまらず翌日外科を受診したところ、靭帯損傷とのこと。
抗炎症薬を処方してもらいましたが、数日間は痛みで腕がほとんど使えず、料理もできず、夫には馬鹿にされてさらにガッカリしてしまいました。
桜の木に登った時に感じた高揚感も、今思い出すと恥ずかしい限りです。
歳をとったのだと思い知らされた出来事でした。
関連の体験記:「ジュワッ」て...まさか⁉ 娘に縄跳びを教えていた40歳の私を襲った「衝撃の出来事」
関連の体験記:加齢でコンタクトがしんどい、サンダルもはけない...。55歳、身にしみて感じる「健康のありがたさ」
関連の体験記:「手伝いますよ」のひと言が命取り...44歳、義実家の町内会で「若手」と重宝される私の葛藤
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。