あわてて土地を売りたがっていた裏にはさまざまな事情が...マイホームを手に入れるまでの紆余曲折

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ウジさん
性別:59
年齢:男
プロフィール:地方都市で公務員をしています。妻(56歳)の実家にほど近い所に土地を求めて住み始めて25年になります。

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土地の公示価格のニュースを見ながら「この土地はいま売ったらいくらぐらいだろうね」と妻(56歳)に話しかけたところ、「買い手がつけばの話でしょ」と切り返されました。

確かに、決して便利とは言い難い田舎の土地を欲しがる人がいるとも思えません。

そもそも今住んでいるこの土地を買ったのは、25年前、平成8年のことです。

婿入りこそ断ったものの、妻の実家に近い所に住むことは結婚したときの約束でした。

そんなときに知り合いに紹介されたのが今、私たちが住んでいる土地で、小高い丘の上、配水タンクの隣の土地は見晴らしが良く、気に入りました。

しかし、問題はその広さでした。

その土地の広さは何と300坪。

そんなにいらない、というのがそのときの本音です。

いくら田舎とはいえ、この広さなら3軒分にはなります。

「切り分けたくないので、まとめてじゃないなら売らない」

そう言って譲らない売主に、まあ田舎には良くある話とあきらめて承諾しました。

「抵当を抜いて、まっさらな土地にしてから譲りたい」

購入を決めた後、そう言って即金の前払いを求められました。

どうやら借金で首が回らなくなっていて、この土地も抵当になっている関係で分地が難しかったようでした。

大丈夫かなあ、と思いながらもやむを得ないと前払いをますと、売主はあわてて返済に走っていきました。

この話には嘘はなかったようで、数日後に抵当から抜けた土地の正式な譲渡契約を済ませました。

それから近所でいくつも家を建てた評判の良い大工さんを紹介してもらい、家を建てる話を進め始めました。

そして設計のための下調べを始めたら降ってわいたような話が飛び出しました。

なんと水圧が足りないので、水道の立ち上がりが取れないというのです。

「水道タンクがすぐ隣なのに?」

「落差がなさすぎるんですよ。50mほど下がった所にポンプを付けないと水圧が足りないですね」

あわてて売り主の所に行き「話が違うんじゃ」と抗議しましたが、売主は素知らぬ顔です。

「水はたっぷりあるとは言ったが、すぐ使えると言った覚えはないですよ」

売主にそんな禅問答のような言い訳をされて、煙に巻かれてしまいました。

いきなり予想外の出費に面食らいましたが、とにかくも基礎工事に入る運びになりました。

すると今度は、土の下から建築廃材らしきものが続々と掘り出されてきます。

「こんなものが埋まってるなんて聞いてないよ」

「売主さんが埋めてたわけじゃなさそうですね...売主も知らないで手に入れて、そのまま放っとかれた可能性もありますからねえ...」

大工さんも困り顔です。

とは言うものの、事実を明らかにしなければ、ともう一度売り主の所を訪れました。

「あれ? なんか気配がしないぞ...」

なんと売り主の家はもぬけの殻。

近所の方に話を聞くと、いつの間にか姿が見えなくなったとのことで、どうやら夜逃げをしたようでした。

「あちこち借金してたらしいですからねえ...」

話を聞いた人も呆れたふうでした。

出てきた廃材は処分費用を負担して、大工さんが知り合いの業者さんに引き取ってもらうように取り計らってくれました。

「せっかく安く手に入れた土地だったのに、案外高くついちゃったなあ」

妻と顔を見合わせたものです。

結果的には見晴らしの良い我が家を手に入れることができ、考えようによっては面倒がまた起きそうな売主さんとの関係も断つことができ、よかったようにも思います。

ただ、一生一度の買い物にしては、なかなかに薄氷を踏むような、貴重な体験をする羽目になりました。

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