<この体験記を書いた人>
ペンネーム:はるかの
性別:女
年齢:43
プロフィール:夫と息子1人と暮らすパート主婦。
70代の私の両親の話です。
姉と私はそれぞれ結婚して家庭があるので、実家は父と母の二人暮らし。
父も母も体は健康で何よりなのですが、二人の関係に少々悩んでいます。
母はとても生真面目な人で、少し神経質なところもあり、友人も少ないタイプ。
私はそんな母の話し相手になってあげようと思い、ちょくちょく実家に帰るのですが、その度に聞かされるのが父に対する愚痴です。
父は会社を定年退職した後も、技術を生かし個人事業主として今も仕事を続けています。
全国あちこちへの出張も多い上に、家にいてもほとんど自室にこもって仕事をしているような人です。
しかも母とは対照的で、友人との付き合いが好きで、時間ができると飲みに出かけてしまいます。
そんな父との毎日に、母の寂しさは募りに募っているようです。
「3度の食事にしか部屋を出てこない」
「夜中まで仕事をしているから寝不足で、リビングにいても、うたた寝ばかりで話もできない」
「本当はお父さんと山登りに行きたいのに」
「美味しいものを食べに少し遠出したいのに」
日常の愚痴から始まり、こうしたいという願望まで話が尽きません。
母の不満はごもっともだし、気持ちもよく分かるのですが、私がモヤモヤするのは、その不満を一切父に打ち明けないことです。
父は決して冷徹な人間ではないし、母に対しても明るく接する人です。
「少し休みを取ってほしい、あそこへ行ってみたい」
などと食事の時にでも軽く言ってみたらいいと思うのですが、母にそれを提案してみても聞き入れません。
「無理やりお願いして、嫌々時間を作ってもらっても嬉しくない」
「どうせ一緒に出かけても、早く帰りたそうにされて逆に悲しくなるだけ」
なんて勝手な想像をして卑屈になるばかり。
父は父で、朝から晩まで仕事ばかりして、母のことを放ったらかしにしていることは自覚していると思います。
かつては二人で花の写真を撮りに出かけたりしていたこともあったので、そういうことが好きなもの分かっているはずなのに、「忙しくてごめん」などと気遣う言葉すら掛けないのです。
以前、私から母の気持ちを父に伝えたこともあったのですが、その時も「自分と出かけるより友達と行ったほうが楽しいだろう」などと、父の方にも勝手な思い込みがあるようでした。
仕方がないので、今のところは姉や私が母の行きたそうなところを見つけて誘い出し、寂しさを紛らわせてもらっていますが、根本的な解決には至っていません。
これからも根気よく二人の間をさりげなく取り持っていけたらと思っています。
私も夫に対して素直になれないことも多いですし、父と母の間にも長い年月の中で築かれた、本人たちにしか分からない関係性があるのだろうとは思います。
ですが自然な形で二人がお互いに本音を言い合い、気持ちのすれ違いを解消して、仲の良い老後を過ごしてくれることを、娘としては願うばかりです。
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