<この体験記を書いた人>
ペンネーム:みけ
性別:女
年齢:51
プロフィール:両親と同じ敷地内に住んでいる51歳自営業。
今年、進学して一人暮らしをしようと考えている姪がいます。
彼女を送り出す時の家族の気持ちを母と話していた際に、ふと昔を思い出しました。
私が29歳の頃の話です。
当時、結婚と同時に夫の仕事の都合で他県に引っ越しをしました。
私もその土地で働き始めたのですが、友達もまだ出来ず寂しい時期。
駐車場がちゃんと決まるまではと思い、車は実家に置いてきていたので、気晴らしに出掛ける事も出来ません。
実家は公共機関で帰省するには不便な所なので、休日も本を読みながらボンヤリ過ごしていました。
そんなある日、母から手紙が届きました。
わざわざ手紙? 不思議に思いながら封を切ると、便箋三枚の前半には、飼っている犬の事、庭の様子などたわいもない事ばかりが書かれていました。
土いじりが好きな母にとっては庭の話題がメインだったのかもしれませんが、庭に興味がない私は、大好きな犬の話を実際の様子を想像しながら何回も読み返して、思わず顔が緩んだのを覚えています。
しかし、本題はその後にあったのです。
何と、私が越してから直ぐに父が軽い脳梗塞で入院したことが書かれていました。
「脳梗塞=死」というくらいのイメージしか持っていなかった私は背筋がゾッとしてパニックです。
「脳梗塞!? どうしよう。どうして今頃なのよ!」
腹を立て、思わず受話器を取り上げそうになりましたが、取り敢えずはと読み進めていくと...。
仕事をしていた父が自分で調子が悪いと言い出して、かかりつけの個人医院に診てもらいに行ったそうです。
そこで血圧を測ってみると、「250」という尋常ではない数字が出ました。
驚いた先生は直ぐに大きな病院に紹介状を書いてくれ、母の運転で行ってみたところ、即入院に。
それでも数字のわりに麻痺などの症状も出ず普通にしていられるのは、親に頑丈な体をもらったからと言われたそうです。
数日病院で過ごしたら退院となり、翌日から仕事も始めたとの事でした。
そうだったんだ...少し安心して、最後のページをめくると、そこに母の気持ちが綴られていました。
「言えば飛んで帰って来たでしょ? でも、軽くて済んだし、お父さんと2人で頑張る事にしたの。新しい環境で頑張っているあなたは疲れていると思う。気負い過ぎないで楽しく過ごせるようにね」
電話よりも便繊に書かれた言葉が温かく感じ、母親ってこういうことなのかなと無性に嬉しくもありました。
私には、同じ敷地内に住んでいる姪達が子供の様な存在です。
いろいろな壁にぶつかりながら成長している彼女たちに母の様な気遣いが出来ているかな? と、今の自分を振り返ってしまいました。
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