<この体験記を書いた人>
ペンネーム:茉莉花
性別:女
年齢:51
プロフィール:アラフィフのシングルマザーです。3人の子どもがいます。
51歳の友人から聞いたお話です。
離婚して5年になる友人は、私と同じく3人の子供と一緒に暮らしています。
昨年、一番下の子が成人しました。親としての責任感から解放され、ほっとしたのと同時に、孤独感もズドーンと押し寄せてきたのだそうです。
前の夫とは警察が介入するほどのDV問題で別れたので、「もう一生独身でいいわ」と思っていたそうなのですが、年月が経つにつれ、記憶も徐々に薄れ...。
そうなると、人恋しくなるのは、人間の性なんでしょうか? それとも年のせい? 寂しがりの彼女の性格もあるのかな...。
最期はもしかして、孤独死? なんていう言葉も頭をよぎって、やっぱりパートナーを探そうと思い至り、マッチングサイトを利用したのだそうです。
話が盛り上がったなら、リアルに会うのもありかな? そう思いながらプロフィールを登録。
後先を余り考えずに行動してしまうところのある彼女は、プロフィール欄に近況を赤裸々に綴ったそうです。
仕事より子供のことに重きを置かざるを得ない状況だったので、日々の生活はカツカツ、余裕なし。
なので、デート費用はお願いしたい等も。
それが事件になるような状況に陥ってしまうとは...。
思いのほかすぐに反応があり、隣県に住んでいるという男性とやり取りが始まった彼女。
車の営業をしているという男性との会話は、テンポが良く楽しくて、会ったこともないのに、夜中から明け方までやり取りを続けたそうです。
お互いの状況を伝え合い、2日目で写真交換。
その後に出会う約束をしました。
デート費用は全部持ってくれると言います。
ランチを食べて楽しく話そうと快活に言う男性の言葉が素直に嬉しくて、舞い上がったまま、当日、お互いに自分の車で待ち合わせ場所まで行きました。
「俺の車で、ドライブしようか」
そう言われ、何の疑問も持たずにその男性の車に同乗した彼女...。
本当に浅はかだったと悔しそうでした。
連れていかれた場所は、なんとラブホテル。
想像と違うけどまあいいっか...久しぶりだし...。
何年もご無沙汰だったこともあり、彼女は舞い上がったまま部屋に入ってすぐ、身体を重ねてしまったそうです。
ランチはホテル内の軽食。
正直、食事ってこれ⁉ と思ったとか。
その後、ソファでずっと会話していたそうなのですが、帰宅予定時刻が近づいてきた時、男性が「シャワー浴びてくるよ」とお風呂場へ。
その間、彼女はじっとテレビを見ていました。
この人と会うのは、もう、ないかなあとか、思いながら。
お風呂場から出てきた男性はおもむろに財布をあけ、こう言いました。
「正直に言って。俺の財布、開けたやろ?」
は? 何言ってんの??? と思ったそうですが、疑いをかけられたらたまったものではありません。
「触ってないよ」
「いや、札が無くなってる。あんたの苦しい事情はわかるけど、盗みは犯罪だよ。警察呼んだらすぐわかるから」
あたかも彼女が盗んだかのように言い出したそうなのです!
「盗むって、あなたの財布、どこに置いてるのかも見てないし、触ってもないよ!」
この時点で、これって、デート詐欺⁉ と気づいたそうですが、じわじわ鬼の形相で迫ってくる男性が怖くて、冷や汗をかきながら、自分の財布にあったお札を全部男性に渡したそう。
「本当にこれだけ? まだ隠してない?」
それでもなお男性は迫ってきます。
財布を見せ「もうない!」と言い、震える手で室内の電話をとりフロントの番号を押し、助けを求めたそう。
とにかく部屋から出してほしいと。
フロントの方は最初困惑していましたが、尋常じゃない彼女の様子を見て察してくれたようで、彼女だけ部屋の外に出してくれました。
「あいつ(彼女のこと)が札を抜いたんや、警察呼んでもいいですけど」
男性がフロントの人にそう言っているのが聞こえたそうです。
彼女は事務所に避難させてもらったのですが、しばらく身体の震えが収まらなかったと、私に話してくれた時も、何かに怯えているようでした。
従業員にタクシーを呼んでもらい、男性が先に帰るのをモニターで確認してもらってから、彼女も帰りました。
恥ずかしかったそうですが警察に行き、説明をして被害届を出しましたが、半年過ぎても何も連絡はないそうでう。
そりゃあ、そうでしょうね、証拠になるものが何もない...。
彼女と同じシンママの私は、本当に他人事とは思えませんでした。
怖かったでしょうし、怒りもあるでしょう。
貧困シンママの状況をターゲットにしたこのような犯罪が、二度と起こらないことを願っています。
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