<この体験記を書いた人>
ペンネーム:みけ
性別:女
年齢:51
プロフィール:両親と同じ敷地内に住む独身の自営業。
80歳になる父は、日頃、気の向かない時には必要最小限の返事さえしないほど無口です。
年を取ってからは少しマシになりましたが、子供の頃は父の声を一度も聞かない日も珍しくありませんでした。
ところが、そんな父に去年の春から変化が。
「俺は頑張った」アピールをするようになったのです。
最初は「そうだよね」と気のない相槌を打って聞き流していました。
しかし、何度か「もう、休んだっていいよなぁ」と言われ、どうして改めて言うのだろうと思い考えてみてピンときたことが。
もしかして母が、家の事を何もしないと父に文句を言っているから?
家事も育児も全て担ってきた母は、その延長で今も家事を1人でやっています。
78歳の母にすれば、自分も体がキツくなってきたのだし、出来る事は手伝って欲しいと思っている様です。
でも、父はテーブルの上の片付けすらしません。
たまに私達に強く言われて片付ける時は「ちっ」と舌打ちして、頼まなければ良かったと思わされます。
父は中学校を卒業して直ぐに、古い言葉ですが「丁稚奉公」に出ています。
ずっと頑張ってきたのは分かるのです。
何度か聞いた丁稚奉公時代の苦労話は、時代劇を彷彿させ衝撃を受けました。
ですが、同じ時代に育って、一緒に頑張ってきた母のことは評価していないことがイマイチ納得できません。
私がもっと助けてあげられれば良いのですが、思うようにいかず、2人の間で板挟みになる時もあります。
「小さな事でも手伝ってあげて。お父さんがくたびれているなら、お母さんも同じ様にくたびれてるよ」
母が怒ったタイミングで、私も何度かそう言ったことがありますが、父には効き目がありません。
それどころか、兄夫婦を味方にしようと思ったのか、予想外の行動に出ました。
お正月に兄家族と食事をした時のこと。
「俺も今まで頑張ってきたよなぁ。疲れちゃったよ。もう、休んでもいいだろうよ」
会話の脈絡も無視して兄に謎のアピールを始めたのです。
普段私達には見せたこともないはにかむような笑顔で言う父に、目と耳を疑ってしまいました。
兄は同じ敷地内に住んでいながら顔を合わせる機会がほとんどなく、事情を知りません。
その上、優しくて父に従順な兄は「あぁ、もういいよ。ゆっくりしなよ。何にもしなくていいよ」と大いにねぎらったのでした。
まさに、それこそ父の待っていた言葉。
それを聞いた瞬間の、父のお酒に緩んだドヤ顔ときたら。
思わず(小さい男だなぁ)と言いそうになってしまいました。
お正月だし、私は私で兄には従順なので、一言いいたかったのをグッと我慢しましたが、悔しいやら情けないやらで、いまだにモヤモヤしています。
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