<この記事を書いた人>
ペンネーム:ひろえもん
性別:女
年齢:56
プロフィール:海辺の街で4匹の猫と夫とのんびり暮らす平凡なおばちゃんです。
前職の旅行アシスタントは添乗業務や街歩きをお手伝いする仕事で、観光客がいないと給料が無い、いわゆる完全歩合制なので生活は不安定でした。
ただ同業者は、自由を満喫する変わった人が多かったかもしれません。
あの日、会社に「彼女に追い出されて行くとこないっす」とスーツケースを持った後輩が立っていました。
当時、もうすぐ50歳のベテランの域にはいった私は、後輩を助けることも必要と思ってしまったのが間違いでした。
「社長、男の一人暮しやし、泊めてもらえるかも。どうしても見つからん場合はコレ」
そう言って自分の連絡先を渡してしまったのです。
1泊2日のつもりでしたが、後輩はそれから2カ月居座ることになりました。
もちろん家賃も光熱費も食費も払わず。
一番困ったのが、本業が自称ミュージシャンだったこと。
「オレ1日最低3時間は練習なんすよ」
そう言ってベランダでギターを弾きまくり、これじゃ私達がアパートを追われかねん! と早く別の宿をみつけてくれと祈るのみでした。
しかも練習なので同じフレーズを何回も繰り返す一番イラつくパターン。
最初は「ブラボー!」と喜んでいた夫も「ここなら聞こえん」とトイレに籠り始めました。
その後も、旅行に行く彼の友人が部屋を貸してくれるというのでホッとしていたのも束の間、なぜか戻ってきたことも...。
「欠航で戻ってきて泊まれなくなった」
「なんでーな。友達の家に泊まればいいやん」
「いやですよ。彼って変なんです」
「アンタも変やからちょうどやん」
そんな不毛な攻防の末、しばらくすると「オレ治験行くっす」と風のように去っていきました。
この後輩の前にも同業者の女性に「大家さんがアパート売るって。他の部屋が見つからない」と相談され、見つかるまで1カ月かなと思ったら3カ月居候されたこともありました。
「うちは温水をタンクに貯める式だから、熱い湯が満タンになるまで2時間かかる。みんなシャワーしたいからお湯はちょっとずつ使おう」
そう言っておいたのに、シャンプーを泡立てる間もお湯は流しっぱなし。
私達夫婦は水のシャワー...。
さらに、マリーアントワネットばりの巻き髪ロングの彼女は、真夜中にドライヤーを長時間かけるのが当たり前。
隣人に「夜中に掃除機かけとるやつおる!」と警察に通報されました。
(「掃除機なんかかけるはずないじゃないですか!」と説明し、お咎めなしとなりましたが...)
さらに、居候が2カ月を超えた頃、水道代とか光熱費、消耗品を折半しようかと5000円を請求すると、嫌そうにがま口からお金を出す姿を見て怖くなり、友人に相談しました。
「バカ! 退去なんて何カ月も前に決まってて、今まで何もしなかったやつが今すぐ何かできるわけないじゃん!」
確かに~そりゃそうですよね。
3カ月後「アパート見つかった?」と聞くと「あそこはこうで~。イマイチ」ともう絶対無理な条件で探していたので、どこかで妥協しなさいと叱ると逆切れされました。
「あなたが来てほしいって言うから来たのに!」
いやいや、言ってませんけど⁉
それでもしばらくすると小さなアパートに引っ越してくれました。
その時、彼女の男友達が手伝いに来ていました。
彼女は前の広いアパートに置いていたソファが2つあり、1つは処分しなければいけません。
「引っ越しを手伝ってくれた友人にあげたら? しかもランチおごってもらってたし」
「なぜ? 彼、私とランチできて幸せって」
ああ、私の常識は彼女に通じない。
扉の壊れた超重いドラム式洗濯機も捨てずに男友達に運ばせて、ありがとうも言わず去って行ったマリーアントワネット女子...あんな子もいるんですね。
以降、あまり仲の良くない同業者を泊めることが怖くてできずにいます...。
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