初仕事は独身寮での「夜の大事な接待」!? もう辞めたいとも考えた、若き日の思い出

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:まるおじ
性別:男
年齢:52
プロフィール:専業主婦の妻と高校生、小学生の子供の4人家族です。単身赴任中で月1、2回自宅に戻る生活が3年ほど続いています。

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2020年も終わりに差し掛かる11月下旬頃、会社宛に1枚の喪中はがきが届きました。

仕事関係では思い当たらない名前に「一体誰なんだろう?」と不思議に思いました。

しかし、しばらく記憶をたどっているうちに、30年ほど前の新入社員時に入居していた独身寮の管理人さんであることを思い出しました。

当時はバブル景気の崩壊直後でしたが、私は運良く第一希望の今の会社に入社することができました。

そして、意気揚々と入社式に臨み、配属が決まった部署に向かいました。

すると挨拶も早々に、先輩社員から「今夜から早速やってもらいたい仕事があるので時間を空けておくように」と言われました。

なんでも、大事な接待があり私に是非やってもらいたいというのです。

「入社初日の新入社員が接待に行くなんて聞いたことがないな」

不思議に思いながらも初仕事に喜んでいました。

しかし、その夜に私が連れて行かれたのは入寮することになっていた独身寮。

そして、先輩から「接待」とは60歳近くになる寮の管理人さんの囲碁の相手をして機嫌をとることだよ、と言われました。

なんでも、その管理人さんは三度の飯より囲碁が好きらしいのですが、最近は囲碁ができる寮生がおらず、常に不機嫌そうに当たり散らすので寮生たちも困っていたそうです。

そういえば、内定後の懇親会で囲碁ができるかどうか聞かれたな...と思い出しながら、これもいい経験になるだろう、と考えてこの接待(?)を引き受けることに。

そして、毎週金曜日の夜は管理人さんと囲碁の対局をすることになりました。

管理人さんはとにかく気難しい方で、本気を出して私が勝つと不機嫌になり、少し手を抜いて負けても不機嫌になる、といった具合でした。

しかも、対局が終わると、今度は日本酒を持ち出して、夜明け近くまで説教や昔話を延々と聞かされるのです。

このため、翌日も自室でぐったり寝込むことが多くなり、他の寮生が遊びに出かける中、1人寂しい週末を送ることになってしまいました。

思い描いていた社会人生活とのあまりの落差に、入社して半年くらいの間は、もう会社を辞めてしまおうかと思い悩むほど。

しかし、そんな管理人さんとも次第に打ち解けはじめ、実は人情深くユーモアもある方であることが分かると、週末の対局が楽しみになりました。

そして、いつしか対局後も日本酒を飲みながら人生相談をできるような仲になっていきました。

こういう生活も悪くないな、と思えるようになったのですが、入寮から3年後に老朽化のため寮が閉鎖されることとなり、管理人さんは引退しました。

私は別の寮に引っ越すこととなり、週末の対局はそこで終わってしまいました。

最初の頃は時々お会いしたり年賀状のやり取りをしたりなどしていたのですが、私の結婚やその後の何度かの転勤などで次第に疎遠となってしまい、いつしか交流も途絶えてしまいました。

息子さんが遺品整理をしている中、私のことが分かり喪中はがきを送ってくれたようです。

当時を思い出しながら、懐かしさと寂しさの入り混じった何とも言えない気持ちになりました。

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