<この体験記を書いた人>
ペンネーム:大家ぽん子
性別:女
年齢:64
プロフィール:64歳主婦です。ヘルパーステーションでたまに働いています。
64歳の主婦です。
近所の方が始めたヘルパーステーションで、手が足りない時だけお手伝いをしています。
そこで出会った1歳年上のAさんという方がいるのですが、会うと自分の学歴自慢・職歴自慢・子供の学歴自慢をしてきます。
運悪く私が自慢のターゲットになってしまい、延々自慢話を聞かされる羽目になっていました。
それで私は苦手意識を持ってしまっていたのですが、そんなAさんを尊敬するようになった出来事があります。
その日、いつものヘルパーさんがインフルエンザに罹ったとのことで、あるお宅に私が代理で向かうことになりました。
一人暮らしをされているSさんという方でした。
初めてのお宅だったのでご本人に伺いながら家事をし、食事をお出ししたのですがあまり箸が進まないようでした。
もともとたくさん召し上がらないということは聞いていましたので、そういうこともあるのかしらと思い片づけをしてお暇しました。
帰りにヘルパーステーションに寄り、Aさんに報告書を出しました。
Aさんは、代表が不在の時はヘルパーステーションで代表代理をしているのです。
「今日伺ったSさん、ほとんどお食事に手を付けなかったんですよ。味のお好みあります?」
「ああ、Sさん。ちょっとこだわりがあるみたい。でも食欲がなかったのなら心配よね...。分かったわ、お疲れ様」
その日はそれで話は終わり、いつも通り帰宅しました。
その数日後「Sさんのことで聞きたいことがある」とステーションに呼び出されました。
何か不手際があったのかしら? とドキドキしていると「Sさんが体調を崩され、入院された」と聞かされたのです。
元気な姿を見た最後の人が私だったので、その時の様子を聞きたいとのことでした。
どうやらご家族が「見守りもお願いしているのに(体調の変化に)気が付かなかったのはなぜなんだ!」と怒っているとのこと。
あの日何か見落としていたのかしら、でも普通にお話しもできていたわよね? と必死で思い出しながらヘルパーステーションに向かいました。
ですが、ヘルパーステーションに到着すると、思いのほか和やかな雰囲気でした。
聞けば、Aさんの活躍で私が到着する頃にはほぼ解決していたのです!
Aさんは、私の報告の後、なんとなく気になってSさんご本人に電話をしてみたり、代表に相談してケアマネージャーさんにも様子を見てほしいとお願いしたりしていたそうです。
そして、今日もその日の責任者としてSさんご家族の話を根気強く聞き、こちらでしていた対応を説明した上、誠心誠意お詫びをしてくれたそうなのです。
「きちんと対応してくださったことが分かりました。退院したらまたお願いします」
最後には、ご家族からそう頼まれるまでになったそうです。
その日の記録を詳しく残していたことも効いたそうで、手腕の鮮やかさに思わず唸りました。
その後、Aさんに改めてお礼を言いました。
その時の説明にも惚れ惚れしてしまいました。
「ああいうしっかりしたご家族はね、こちらがやるべきことをやっていれば分かってくれるものよ。私の周りもああいうタイプ多いからね~」
さりげなく自慢? をからめてきましたが、それもご愛敬。
Aさんの自慢も思わず納得の、実力を見た出来事でした。
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