<この体験記を書いた人>
ペンネーム:なずな
性別:女
年齢:57
プロフィール:子育ても終わり一息つきたいシングルマザーです。
28歳の長男が去年の5月に実家暮らしを卒業して、晴れて一人暮らしを始めました。
「一人暮らしは寂しいから」と言って渋っていたのですが、始めてみるとそうでもないらしく、こちらから声をかけない限り、実家に帰って来ることはありません。
連絡もほとんどありません。
ある日、様子見も兼ねて、友人からもらったお肉をおすそ分けしようと、取りに来るように電話しました。
すると、久しぶりに会う長男の顔に髭が...。
髭を生やした息子の顔は、20数年以上前に離婚した元夫の顔に似ていました。
その顔を見て、ふと元夫と離婚まで秒読み段階だった頃の事を思い出しました。
当時は私が33歳、元夫が34歳。
なかなか定職に就かない元夫に愛想が尽きて、離婚を決意し、お互い合意して、あとは離婚届を出すだけになっていました。
定職に付いていない元夫は出ていく先も決まらないので、仕方がなく同じ家で1カ月程一緒に暮らすことになってしまっていたのです。
3歳の長男と生まれて間もない次男を抱え、私が引っ越す選択肢はなかったのでしぶしぶそんな生活を受け入れました。
そんなある日、元夫が連絡もなしに外泊しました。
離婚も決まって、夫婦とは呼べない他人になった元夫に対し、連絡がないからと問いただす理由もありません。
どこにいたのかなど、一切聞かずに過ごそうと決めたのですが、やっぱり気になります。
そして、元夫が入浴中にこっそりお財布の中身を見てみると...カード入れの中に見知らぬ女性のクレジットカードが入っていました。
そういえば、帰宅した時に大きな紙袋を下げていたことがありました。
「友達にスーツを貰った、就活に必要だからって」
聞きもしないことをいつになくペラペラしゃべるな、と思ったのです。
ああ、なるほどなと呟いた瞬間、おなかの底から熱いマグマのような怒りが湧き上がるのが分かりました。
財布ごと捨ててやろうと、握りしめながらリビングに戻ったときです。
おもちゃで遊んでいた3歳の息子が私に気が付いて振り向きました。
そして、とっても心配そうに「どうしたの」と聞いてきたのです。
その顔と声にハッと我に返り、冷静になることが出来ました。
長男がそんな風に私に声をかけて来たことがなかったので、よっぽど怖い顔をしていたのでしょう。
「ごめん、ごめん、なんでもないよ」
そう言いつつ、深く反省!
子供に心配かけちゃ良くないなと思いながら、子供の成長を実感した出来事でした。
優しい子なんだなあと癒され、私どんな顔をしてたのか自分でも見てみたいなとも思いました。
そんな葛藤を繰り広げるリビングとは別に、元夫はのんきにお風呂に入りながら、買ってくれた女性の顔やスーツの事を思い浮かべていたのでしょう。
久々に会った28歳の長男の顔を見て、3歳だった頃の可愛らしい顔と、間抜け面で帰ってきた元夫の顔が重なり、なんだか複雑な気持ちになりました。
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