口を開けないアサリに「詐欺だ!」と激怒。...ねえ、火はつけた? 早とちりな78歳父の今後が心配

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:れもん
性別:女
年齢:45
プロフィール:2人の息子を持つシングルマザー。腰痛もちでも、日々ハイキングを楽しんでいます。

口を開けないアサリに「詐欺だ!」と激怒。...ねえ、火はつけた? 早とちりな78歳父の今後が心配 27.jpg

私は45歳のシングルマザーです。

離婚してから実家に戻り、私の父(78歳)、母(71歳)、長男(18歳)、次男(14歳)の5人で暮らしております。

父は定年退職後も、無理のない範囲で時々アルバイトに出ていました。

昨年の夏からは、もうゆっくりしたいということで、自宅でのんびりと過ごすことに。

これまでの長い間、身体を酷使して真面目に働いてきた父です。

仕事を辞める事に、家族全員が賛成。

とは言え何の制限もなく、気のおもむくままに毎日生活していると、父の健康面が心配になります。

もともと、父は自己管理がそんなに得意ではありません。

私と母は仕事をもっているので、家族で一番時間を持て余しているのは父。

自宅にいても、ある程度の役割と規則正しい生活を送った方が身体のためなので、無理のない程度に家庭菜園を始めることにし、今はそれが生活の励みになっているようです。

海の幸も大好物な父はある朝、港にある市場へ足を運んでいました。

いつも観光客で賑わっている海鮮市場から、ご機嫌な様子で父は帰宅。

「アサリを買ってきたぞ。お昼にアサリ汁作るから、ゆっくり仕事してていいぞ」

どうやら父がお昼を用意してくれるようです。

母はいつも通り仕事に出かけ、私は自宅の2階の部屋で仕事に追われながら忙しく過ごしていました。

普段はまったく台所には立たない父でしたが、ちょっとずつでも慣れない家事をやろうとしてくれていることはとても嬉しいです。

引き続き私はパソコンに向かい、仕事を続行。

気が付くとまた、1階から父が私を呼んでいます。

「アサリ全部死んでるよ! 詐欺にあった~! いや~まいった...死んでるあさり売りつけやがって! まったくひどい商売するもんだな!」

1階でひどく苛立った父が大騒ぎ。

とにかく下に降りて台所にきて見てみろというので、仕方なく仕事を中断し、言われるまま台所へ向かう私。

ところが...あさりの入った鍋の中をみてみると、お湯が全く沸騰していません。

それを見て、私は一瞬で気が付きました。

また父の早とちりだ。

「もしかしてこれ、まだお湯が沸騰してないだけなんじゃないの?」

すると父は、そんなことはないと言いながらも、ハッとした様子で再び鍋に火をかけるのです。

普段から、父はものすごく思い込みが激しいタイプ。

それも年々ひどくなってきているような...。

案の定、アサリは無事でした。

おいしそうな香りと、パッカリと口を開けたアサリ。

そこには詐欺の「さ」の字もなく、全く問題はありません。

「いや~、うまい! やっぱりアサリ汁は最高だな!」

父はご満悦で先ほどの騒ぎなど忘れたようですが、一瞬でも詐欺呼ばわりされた市場の店主を思うと、ひどく申し訳ない気持ちになります。

そして、私にとっては1分さえも惜しい状況でも、勝手な父の早とちりで、その都度仕事の時間が奪われてしまいます。

今はまだ母が元気でいてくれるので助かっていますが、もし母が病気などで倒れてしまったらと思うと、今から不安でしかたありません。

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