<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ひろえもん
性別:女
年齢:56
プロフィール:猫4匹と夫といっしょに海辺の街でのんびり暮らすフツーの関西のおばちゃんです。
最近TVでセクハラやパワハラのニュースを見ると、35年前、「雇用機会均等法」施行直後に営業として採用された自分の、機会均等でも何でもない悲惨な新入社員時代を思い出します。
バブル最盛期、当時私は22歳。
今は死語となった「トレンディ」な業界のクリエイティブ臭プンプンの営業企画部に配属されました。
しかし、そこで待っていたのはバリバリに厳しいブルドックのような上司。
無駄にやる気満々の新入社員だった私は、クライアントから頼まれた仕事を何でもかんでも引き受けていました。
上司にやるなと言われても勝手に仕事を受けて逆鱗に触れ「もうお前は仕事せんでええ!」と部屋全体に轟く声で怒鳴られる羽目に。
その形相があまりにも恐ろしかっため、気づいたらトイレに2時間ぐらい籠っていたのです。
同僚が「来いって言ってるよ」と迎えに来るまで放心状態。
幸い、その上司とはその後ほとんど毎日、一緒にランチに行ったり、一つのお好み焼きを分けて食べたり、社員旅行に行ったりして、最終的には人情深い人だということを知ることになるのですが...。
大変だったのは会社の中だけではありません。
得意先を訪問すれば、相手が机に脚を乗せたまま応対され「また、脚の太いネーチャンが来たで~」と笑われていました。
当時は言動にも行動にもコンプライアンスなど存在しませんでした。
その中でも一番ショックだったのは、営業成績トップの先輩(男性)のアシスタントで地方に出張に行った時の出来事でした。
その日は、宿泊先のホテルのバーで得意先を接待することになっていました。
私は得意先の隣に座らされ、やたら首筋に絡んでくるおじさんの顔を、ご機嫌を損ねないよう上手く振り払いながら地獄の接待を終えました。
3人でエレベーターに乗りましたが、私が宿泊する3階に止まると、先輩は素早く「閉」を押し自分だけエレベーターを飛び降りたのです。
私は一瞬何が起こったのか把握できず、エレベーターはそのまま得意先の部屋のある7階まで上がってしまいました。
落ちついて「どうぞ」と得意先にエレベーターを降りていただき「おやすみなさいませ」とお辞儀をして「閉」を連打。
3階まで降りると、先輩がエレベータ前のホールの床に転がって寝ていました。
私は先輩をひょいっと飛び越え部屋まで戻り、怒りが湧き上がってくるのを抑えながら、その夜は眠りました。
新入社員の私を、意図的に得意先と二人きりにしたのか...今となってはわかりません。
翌朝、朝食の席で先輩は何もなかったかのようにニヤニヤしていました。
どうせ追及してもベロベロに酔っていて覚えていないと逃げるに違いないし、会社に訴えてもクビになるのは自分だと思ったのです。
今でこそパワハラとかセクハラで女性が会社を訴えることが増え、企業も必死になってコンプライアンス教育をしているはずなので、こういうことも減ったのではないかと思います。
35年「も」前のこと、「たった」35年前のこと、この話を聞いた人がどう感じるかは自由です。
ただ、当時は女性社員に対してこんな扱いをする人物がゴロッゴロいたということを知って欲しかったのです。
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