<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男
年齢:58
プロフィール:地方公務員です。息子(23歳)は今でこそいっぱしの社会人ですが、学生の頃はなかなかの放蕩息子でした。
今から3年ほど前、息子(現在23歳)が大学2年生だった頃のことです。
息子はコマ撮りアニメや、ドキュメンタリー映画などに興味があり、映像系の大学に通っていました。
「今度撮影旅行で沖縄に行くんだ」
「おいおい、ついこないだ北海道旅行に行ってたんじゃないか?」
「それはサークルの合宿旅行、今度は授業がらみだよ」
1年生の頃は割と倹約家なイメージだった息子が、2年生になるといきなりアクティブになり、しょっちゅうあちこちへ出かけたという話を聞くようになりました。
「授業がらみ? それでもただってわけにはいかんのだろ? 金は大丈夫なのか?」
「大丈夫、なんとなるから」
聞いてみても息子は親の心配などどこ吹く風です。
家を離れて暮らす息子には仕送りをしていましたが、アパートの家賃と生活費でぎりぎりの額です。
足りない分はアルバイトということになります。
「何とかなるって、バイト代だってそうそうあるわけじゃないだろ?」
「まあ、差しあたっては借金するけどね」
耳を疑いました。
「借金って、前借りでもするのか?」
「バイト代前借りなんて、とうにやっちゃったよ」
学生が借金と言えばあとはサラ金、下手すれば闇金です。
「そんないい加減な! いいか借金というのは社会的な信用あっての物なんだからな...」
「大丈夫、返すあてはあるんだから!」
バイト代が前借り済みというのも寝耳に水で、重ねての借金というのは言語道断です。
「返すあてがあるって言うんなら、まず稼いでから行けばいいだろう」
「パパさん、やりたいことをできる時にやるために、少々未来を先売りするのはやむを得ないことなんですよ」
「何を聞いた風なこと...」
「先輩からいいバイトを紹介してもらえるんだ、だから大丈夫! じゃあね」
そう言って電話は切れました。
しばらくして、沈痛な声で電話が来ました。
「パパさん、ごめん、必ずいつか返すから金を貸してください」
息子の口から出た金額は数十万円、やはりサラ金を頼っていたようでした。
「いいバイトがあるんじゃなかったのか?」
「それが...。ちょっとそのバイト、俺にはできないよ...」
息子は半泣きでした。
先輩から紹介されたのは、ゲイバーのホストのバイトだったそうです。
「うまい話には裏がある。いい勉強したな」
「...はい」
「身の丈に合わせた生活ってのは、結局は我が身を守るもんだ」
「...はいはい」
「そもそもだな...」
「ねえ、頼むよ、返済期限が近いんだよ!」
あまりいじめるのもかわいそうなので、資金援助を約束して電話を切りました。
息子と約束したのは、旅行などはあくまでも資金を稼いでからすること、授業の関係などでどうしても必要な場合は必ずこちらで援助するので相談すること。
そして、親子の間でも借りたものはきちんと返すこと、の3つでした。
息子が偉いと思ったのは、その後は無茶な行動を慎み、在学中に借りた金をきちんと返したことです。
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