<この体験記を書いた人>
ペンネーム:みけ
性別:女
年齢:51
プロフィール:両親と同じ敷地に住む51歳の自営業。
最近テレビで「パワハラ」という言葉を聞き、昔、出会った変な人のことを思い出しました。
私が23歳の頃、最初に就職した職場での話です。
業務の中に、他の部署の人が書いた書類をチェックする役目がありました。
実はイチから書類を書いたこともなく、チェックしている書類の大半がちんぷんかんぷん。
何が間違っているかも分からない状態でのスタートでした。
そして、訂正をお願いするのはほとんどが先輩か上司でしたので、自分では丁寧にお願いしていたつもりでした。
入社したばかりの新人、しかも書類の書き方も分かっていない私から「訂正しろ」と言われることが、我慢できないと思う人はいて当然です。
それでも、仕事なので表面上は素直に訂正を受け入れてくれましたが、中には露骨に嫌な顔をする人がいました。
嫌な顔をする人の中でも、飛び抜けていたのがA先輩です。
私がその仕事をするようになった年の翌年に転勤してきた人なのですが、最初のうちはニコニコしていました。
「ごめんねぇ」なんて言いながらササっと訂正してくれていたのですが、しばらく経った頃から嫌味を言うようになります。
そしてとうとう、人気のない廊下ですれ違いざまに「自分が偉いと思ってんのか? 細かいミスまでいいだろう?」と凄まれてしまいました。
一瞬、冗談かと思って振り返ると、明らかに目が怒っていて、本気なのが分かりました。
驚きのあまり言葉に詰まっていると「お前が直せよ」と更に追い打ちをかけてきます。
そりゃ、自分で直していいなら直すわ。
自分で間違った訳じゃないのに、嫌味言われてまでお願いにくるもんか!
じわじわっと怒りが湧いてきたものの、それを言ってはお終いです。
一応、先輩だし。
「書いた人が直さないといけないんです。本当にいつもすみません」
辛うじて口角をあげて答えて、一目散に部屋に戻りました。
しばらくして怒りが収まると、先が思いやられて憂鬱になるばかりです。
そこで、隣の席の上司に相談してみることに。
根が明るい上司は、私の話を聞きながらも何故か笑顔を浮かべています。
「ちゃんと聞いてくれてるんだろうか?」と不安を感じましたが、ちゃんと聞いてくれていました。
それどころか、私が話を終えると間髪を入れず電話をかけ、A先輩を電話口に呼びました。
そして「あのさぁ~、さっきうちのみけと話した?」と笑顔のままで切り出すと、「彼女の言う事は俺の言う事だから、宜しくね」とサラリと言って電話を切ったのです。
するとどうでしょう。
次に会った時のA先輩はコロっと態度を変えて、とても感じのいい人に変わっていたのです。
それこそ気味が悪いくらいに。
上司のすごさもさる事ながら、人間こんなに掌返しが出来るものかと感動すら覚えました。
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