「家族だったからな」16年前、飼う時は大反対だった父が...愛犬の死で見せた「隠れた一面」

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:みけ
性別:女
年齢:51
プロフィール:両親と同じ敷地に住む自営業の独身女性。

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父は80歳になりますが、10年前に飼い犬が無くなった時の事です。

父は鳥以外の動物は大嫌い。

私が犬を飼いたいと言い出した時も当然反対されました。

言葉を尽くして説得しても「ダメ」の一言しか返ってきません。

当時私は20代でしたが、病気をして仕事を辞め、実家に戻り療養生活を始めたところでした。

ぽつんと家にいる生活の慰めが欲しくて、犬を飼いたいと思ったのです。

娘には甘い父はそこまで反対しないと踏んでいた私。

予想外の反対にとうとう病気をダシにして願い倒して許してもらいました。

喜んで里親募集情報を調べようとすると、驚いたことに父は「買いに行こう」と言い、知り合いのブリーダーさんの家に連れて行ってくれました。

そこで産まれていたのは4匹の子犬。

1匹だけオスがいて、飼うならオスと決めていたので無条件に決まりです。

帰りにご飯と器を買って、意気揚々と帰宅しました。

それから16年。

ジョンと名付けた犬は大きな病気をすることなく、天寿を全うしてくれました。

息を引き取る直前まで、見守っていた父と義姉と私に元気だよとアピールしようとする健気な姿は、涙なくしては見ていられませんでした。

最後にすぅっと消え入るような呼吸をしてジョンは眠りにつきました。

義姉とひとしきり悲しんだ後、現実に戻って、ジョンをどう葬るかの問題です。

きっと「庭の隅にでも埋めておけ」と言われるだろうなと思いながら父に聞いてみると、予想に反して「ちょっと待ってろ」と。

どうしてだろうと思いながらも亡骸を入れておく段ボールを探していると、父はどこかに電話を掛け始めました。

何と、近所のおばさんに動物の霊園の情報を求めているではありませんか。

そして電話を切ると、そこにお願いしようと言い出したのです。

「いいの!?」と驚いて聞きなおす私に父は「家族だったからな」と。

普段の仏頂面が穏やかに微笑んでさえいました。

父の中でジョンは、私にねだられて仕方なく飼っている動物に過ぎないのだろうと考えていたので、いつの間にかと思いながらもとても嬉しかったです。

翌日早速、霊園にお願いに行きました。

霊園では丁寧に迎えてくれ、翌日に火葬をしてくれるとの事でした。

埋葬する場所とおおよその時間も教えてくれ、父と出直すことにしました。

とは言っても、仕事もあるので父は行かないだろうと思っていたのですが、父は時間をやり繰りして現場から帰ってきてくれました。

霊園でも神妙な顔をしてお線香をあげる姿に、父の隠れた一面を見られた気がしました。

普段は感情を表に出さない父ですが、思っていたより優しい人だったのかなと、悲しい気持ちの中でほっと温かいものを感じました。

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