<この体験記を書いた人>
ペンネーム:masako
性別:女
年齢:53
プロフィール:主婦です。夫は56歳です。バブル時代、職場で「家族のよう」であることを求められました。
コロナ禍で、夫の会社は2020年の忘年会が中止になりました。
夫をはじめ、ほとんどの従業員が中止を喜んでいるそうです。
それを聞いて、職場の人間関係や距離感がバブル時代とまったく変わったのだと思いました。
バブル時代と呼ばれる1980年代後半は、仕事人間が多かったせいか、アットホームな職場がよしとされる傾向があったと思います。
たとえば、私が1985年に18歳で入社した百貨店では、従業員同士が「家族」であることを求められました。
マネージャーと呼ばれる各部門の責任者(30代後半~40代、基本的に男性)をはじめ、ある程度の年齢がいった男性は自らを「お父さん」と言っていました。
そして、私たち若い女性の部下をひとまとめに「うちの娘」と呼び、良くも悪くも娘のように扱いました。
何しろ家族ですから忘年会はもちろん、スキーなどプライベートも付き合うのが当たり前。
何かの事情で参加できなければ、1週間は話題についていけず疎外感を覚えたものです。
職場の「お父さん」たちは、仕事だけではなくプライベートにも当然のように口を出してきました。
「彼氏できた?」「早く結婚したほうがいいよ」などは序の口。
「化粧が濃い」「(私服の)スカートが短すぎる」などの他に「俺が認めた男以外とは結婚させない」と言われた同僚もいました。
「肩が凝ったから揉んで」と肩揉みも当たり前のようにやらされましたし、上着を脱がしたり、着せたりすることも少なくありませんでした。
今の時代なら、この時点でセクハラですよね。
ですが、その頃はセクハラの概念は希薄だったのです。
こうした「擬似家族」とも言える職場の風潮に、疑問を感じなかったわけではありません。
でも、拒絶して自分だけが家族でなくなるのも怖いと感じていたのです。
今思えば、同僚の女性たちも同じ気持ちだったのかもしれません。
もちろん、良い面が無かったわけではありません。
たとえば他部門や取引先など「家族以外」の人間からクレームが来たり、何かトラブルになったりした時は、たとえこちらに非があったとしても、徹底的に庇ってくれました。
謝罪が必要な時は「お父さん」が出向き、私たち「娘」を矢面に立たせることはありませんでした。
また、よくご馳走してくれましたし、どの上司も真摯に相談に乗ってくれていたと思います。
お礼を言うと、どの人からも「家族だから当たり前」のような答えが返ってきました。
当時はジーンときたのですが、今思うとその良い面ですらちょっと気味悪く感じます。
最近の冷めた人間関係を嘆く声もありますが、夫の会社のように職場の人間関係は、忘年会が中止になって喜ぶくらいの距離感がちょうどいいのかもしれません。
みなさんはどう思いますか?
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