<この体験記を書いた人>
ペンネーム:れもん
性別:女
年齢:45
プロフィール:2人の息子を持つシングルマザー。近年はもっぱら家庭菜園、体調不良の話で持ちきりです。
私は現在45歳の主婦です。
先月、懐かしい学生時代の友人から連絡を貰いました。
中学生の頃、彼女とはクラスも部活も同じだったので、一緒に過ごした楽しい思い出がたくさんあります。
中学卒業以降は別々の進路に進みましたが、成人してからも度々お茶をしていました。
しかし20代も後半に差し掛かると、互いに結婚し、地元を離れていきました。
長い間疎遠になっていた彼女と会うのは、約10年ぶりです。
当日まで今か今かと指折り数え、久しぶりのランチを心待ちにしていました。
そして当日、あらかじめ予約していたレストランで、無事再会を果たしました。
これまで連絡が途絶えていた空白の時間。
それぞれどんな風に、どんな環境で過ごしてきたのか。
今は仕事をしているのか、子供は何歳になったのか。
聞きたいことは盛りだくさんです。
しばらく互いの質問は絶え間なく続きました。
そもそも昔から彼女とは話は尽きず、一つの話題から、様々なジャンルに無限に発展していきます。
彼女がトイレに席を立ち、ふと時計に目をやると既に午後二時半。
時が経つのをすっかり忘れていました。
「あ~、やっぱり学生時代の友達っていいもんだなぁ...」
その日彼女と再会できた喜びに、しみじみ浸っていた時です。
友人はトイレから戻って席に戻りました。
「ところでさ、ちょっと見てほしい写真があるの」
ゴソゴソとバッグからスマートフォンを取り出し、私に差し出します。
「これさ、何に見える?」
そこに写っていたのは空に広がる雲の景色。
「う~ん、きれいな写真だね。でもやっぱり...雲?...だよね?」と私。
すると友人は、次のように説明を続けました。
その写真はただの雲ではなく、龍だというのです。
龍神様が、雲の姿になって空に「現われてくれた」というのです。
正直なところ、何度みても私にはただの雲にしか見えず、その説は微妙だと思っていました。
それをきっかけに、友人の話は自分の悩みに始まり、どんどんスピリチュアルな方向へと加速していったのです。
本人の悩みや現在抱えているトラブルの話がより深刻になり、私は言葉の一つ一つを聞き逃さぬよう、真剣に耳を傾けていました。
同時に、友人に対して少しずつ、ただならぬ違和感を感じはじめました。
旦那さんとは数年前に離婚。
友人には中学生と高校生の息子がいますが、ここのところどちらも不登校。
また、最近まで彼氏がいたけど、フラれてしまったとのこと。
そしてそれらを含む、これまで身に降りかかってきた辛い出来事やトラブルは全て、悪霊のしわざだというのです。
それを払拭する為にお払いに行き、毎日お経のようなものを唱えていると...。
そのおかげで近頃は龍神様が味方になり、ときどき姿を現わしてくれる。
それがまさに、あの龍神様(空に浮かんだ雲)なのだと、何の疑いもなく友人は言いきります。
目に見えない力や存在を、頭ごなしに否定する気は微塵もありません。
私自身は、寧ろ信じる側の人間です。
とはいえ、トラブルの原因を全部悪霊のせいにするのはいかがなものかと...。
私にとっては、単なる責任転換と、現実逃避にしか見えませんでした。
さっきまでの楽しい時間は? あの頃の、素直でいつも未来に目を輝かせていた友人はどこへ行ってしまったのでしょう。
私の正直な感想を彼女に伝えるべきかどうかだいぶ迷いましたが、結局最後まで言えませんでした。
また年内に会おうと約束をしてその日は家路につきましたが、色々な意味で今後がとても心配です。
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