<この体験記を書いた人>
ペンネーム:とらとら
性別:女
年齢:52
プロフィール:今年52歳の兼業主婦。義両親のような夫婦に憧れています。
私は今年52歳になる兼業主婦です。
一つ年上の旦那と結婚して、義実家で生活し始めて25年ほど経ちました。
これは結婚して間もない頃の話ですが、私はちょうど仕事が休みで家の掃除でもしようと押し入れの整理をしていました。
義実家は造りがちょっと特殊で、居間の奥に階段があり、その下に押し入れがあります。
入口には扉、中には電気がつけてあり、ちょっとした納屋のように感じになっていました。
当時の私はあまり家事が得意な方ではなかったのですが、昔からいったんやり始めるととことんやってしまう質です。
押し入れに電気をつけて籠り、居間に埃がたたないように扉を閉めて整理を行っていました。
しばらく整理をしていると、ふと居間の方から義父と義母の声が聞こえてきました。
実は義父の居間での定位置はちょうどその押し入れの扉の前あたりになります。
この日は義両親は近くの親戚の家に出かけたので、ちょうどいいと思い押し入れの整理を始めたのですが、思ったより帰りが早かったのです。
義両親が居間に座りこむ気配を感じた私は「ちょっと出にくいな」なんて思っていました。
押し入れの整理がもう少しで終わりそうだし「どうせお義父さんに移動してもらわないと押し入れの扉が開かないから、いっそのこと片付けてから声をかけよう」と思い、そのまま押し入れからは出ずに、片づけを続けていました。
なので、義両親は私が押し入れの中にいるなど思ってもいなかったのでしょう。
押し入れの中で積み重なった箱を並び替えている私の耳に、「いつもありがとうな」と、義父がお茶をいれてくれた義母に言う声が聞こえました。
そして、そんな義父に義母も「こちらこそ。もっと美味しく淹れられるようなりますから、どうぞ先に死ぬようなことはなさらないでくださいね」と返していました。
この時、2人がどんな表情で会話していたのかはわかりませんが、心から素敵な義両親だなと感動しました。
「この家に嫁いで来て良かった。私もそんなことが言えるような夫婦になっていきたい」素直にそう思いました。
そんな雰囲気の中、私も出て行き辛くなり、押し入れの片付けが終わった後も義両親がお茶を飲み終えて、居間を立つまで押し入れの中にいる羽目に...。
今思い返してもちょっと間抜けだったなと笑ってしまうのですが、義両親の会話に本当に感動した出来事を、その頃の義両親の年に近づいて、ふと思い出しました。
義両親は時折小さな喧嘩はするものの、今でもどこに行くのも一緒で仲良くしています。
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