<この体験記を書いた人>
ペンネーム:大家ぽん子
性別:女
年齢:64
プロフィール:64歳主婦です。「寮生活」。私たちの青春時代はステータスでした。
コロナ禍のレジャーで、野外なので感染リスクが低い「ハイキング」がブームだそうですね。
低い山や1時間くらいの遊歩道歩きが人気だとか。
中でも中高年にハイキングが人気なのは、きっとこんな理由があるのでは? と密かに考えていることを聞いてください。
64歳の私が20歳そこそこだった40年以上前、「合コン」ならぬ「合ハイ」というものがありました。
若い男女が「合同でハイキング」をする、いわば出会いの場です。
男女で山登りなんて健全そのものと思いますが、当時は少し悪いことをしている気分でした。
「合ハイ」に行っていたのはちょっとチャラチャラした、今で言う「リア充」タイプの人たちでした。
一方の私は、20歳の頃は実家に住んでいましたし、田舎だったので出会いの場には縁遠い生活を送っていました。
そんな私にも「合ハイ」に行く機会が巡ってきました! 会社の寮住まいの先輩に、寮同士の合同ハイキングに誘ってもらったのです。
もう誘われた時からドキドキ。
男女交際や恋愛結婚も増えてきてはいましたが、まだお見合い結婚が主流の時代。
やはり少し後ろめたく両親には「会社の女の先輩と出かける」と嘘をついて出かけました。
皆でバス停で待ち合わせたのですが、そこに現れたT君、恰好よかったなあ。
彫りが深く少し草刈正雄に似ていました。
肩にかからないくらいのひかえめの長髪で、体系もスマート。
ジーパンを格好よく履きこなしていました。
ついでに言うと、その頃のジーパンはちょっと高価なおしゃれ着でした。
T君は話し上手で、緊張している私たちに好きな音楽の話をしながら、歩く速さを合わせてくれました。
どんどん先に歩いて行ってしまうメンバーもいる中で、スマートに気遣ってくれるT君にときめきました。
目的地の広場につき皆でお弁当を食べる時も、平らで草の少ないところを「女の子達はこっちに座りなよ」とエスコートしてくれました。
お礼に女性陣で多めに作ってきたおにぎりを皆にふるまうと、「おいしい!」と子供みたいにニコニコ。
帰りも足場の悪いところはさりげなく、誰にも分け隔てなく手を貸してくれました。
その王子様のようなふるまいに、参加した女の子はみなTくんにハートを打ち抜かれていました。
「T君、素敵ですね」とこっそり先輩に言うと、やはりどこでもモテモテで数々の浮名を流していると聞かされました。
あれだけ素敵ならちょっと納得。
今思えば、あれは先輩に牽制されていましたね。
その数年後、私は親の持ってきたお見合いで今の主人と結婚しました。
主人が痩せている頃、ジーパンをはいた後姿にちょっとドキドキしたのはこの体験があったからかもしれません。
あの時の楽しかった記憶と、甘酸っぱいときめきを思い出すと、またあの時のハイキングコースに行ってみたくなります。
同じような体験をした方はいますか?
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