<この体験記を書いた人>
ペンネーム:冬華
性別:女
年齢:52
プロフィール:昭和42年生まれのさそり座アラフィフ主婦。7つ年上の夫と中3の娘との3人暮らしです。
よく主人のことを「優しくていいね」と言われます。
確かに手を上げたり怒鳴ったりはしません。
でも意外と怒りっぽく、怒るとムッとして話しかけても返事すらしなくなる人なんです。
普段からほとんどしゃべらない人ですが、何が気に入らないのか意思表示することもなく聞いても無視します。
こっちが気をまわして気付くのを待っているようですが、何もかも理解して思った通りにするなんて無理です。
最初の頃は忖度していましたが、ある日、なんで私だけがこんな気を遣わなきゃいけないんだろうとバカバカしくなって一切やめることにしました。
そうなるとますます仲は険悪になり、今では会話はほとんどありません。
そうやって自分のことは忖度を求めてくる主人ですが、他人の状態や気持ちにはまったく無感心で、興味があるのはテレビと飲食だけ。
私が急にパートをやめて家にいても「仕事辞めたの?」とも聞いてきません。
熱があるからお弁当買ってきてと言うと、黙って2階にあがって寝てしまったこともありました。
中学を卒業してから働いていたせいもありますが、こんな主人には友人が1人もおらず、それも原因しているのでしょう。
それでも、そんな主人は他人には「寡黙で穏やかな人」と映るようで、他の人に話しても私のわがままとしかとってもらえません。
主人は私の親戚に日曜大工を頼まれることも多く、引き受けて小器用にこなしてしまいます。
そのため、ますます優しくていい人という評判になりますが、本当は断りたくても断れないだけで、後で機嫌が悪くなります。
私が事情を言って断ろうとしても、周囲の人はそんなわけないと頼むのをやめず、主人は断れないから引き受けてしまい、本人が引き受けているのになんで邪魔するんだと私が悪者になります。
このままこの生活が死ぬまで続くのかなあと虚しさを感じる日々を過ごしている中、そんな感情が爆発した出来事がありました。
夕飯に娘の好きなチーズハンバーグを作り、チーズハンバーグが嫌いな主人にはピーマンの肉詰めを作りました。
一緒にオーブンに入れていたのですが、取り出す時にあまりの熱さに誤って落としてしまったのです。
いつも無関心な主人ですが、私が大きな声を出したので面倒くさそうに台所まで見に来ました。
そして床に落ちたハンバーグを一瞥し、軽蔑するような表情を浮かべ、舌打ちしながらソファに戻り、無言でテレビを見続けていました。
あまりのショックで立ちすくみ、ぐちゃぐちゃになったひき肉の中でチーズがマーブル模様を描いているハンバーグの残骸を見ていたら、この姿が自分の人生のように見えてきて、思わず大声で泣き出してしまいました。
私が台所で大声で泣いていても主人は声をかけることもなく、無言でソファに微動だにせず座ってテレビを見続けていました。
本当に優しい人なら「大丈夫?」と一声かけてくれるでしょうし、片付けも手伝ってくれるでしょう。
主人の態度はそれとは正反対で、逆に私のそんな態度に腹を立てている様子で、ただただ黙ってテレビを見て、子供が話しかけても面倒くさそうに「うん」と吐き捨てるように言うだけです。
私は残りの人生毎日この人のために料理を作るのかという虚しさでいっぱいでした。
主人とはお見合い結婚で、好きだからというより家庭環境や生活面が合うと思って結婚しました。
今思えば、若い時にもっと恋愛して、周囲に反対されてもこの人でなければという人と結婚したほうが良かったなあと思ったりもします。
離婚して新しい人生を歩むという選択肢もあるのでしょうが、それほどの勇気はありません。
それでも今は子どもの成長が心の空白を埋めてくれているので、それを楽しみにして、その後は自分の仕事や趣味を楽しめるように今を頑張ろうと思います。
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