<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ヒミコ
性別:女
年齢:47
プロフィール:パート主婦。夫と2人の子供がいます。
近所に住んでいる私の両親は共に70代後半で、2人とも元気で、今のところ介護の必要はありません。
毎日活動的に過ごし、家の掃除や庭いじりも積極的にしています。
しかし、最近何か不安があるのか、父が「そろそろ生前整理をする」と言い出したのです。
いきなり生前整理なんて言い出すなんて、こちらも不安になり、しばらく父の様子を観察していたのですが、特に弱った部分も無いようです。
私としてはまだまだ長生きして欲しいですし、生前整理なんて縁起が悪いのでは!? と寂しい思いがしました。
しかし本人が希望するなら父の好きなようにと、静観することにしたのです。
父はタンスの奥にしまってあった自分の服や靴、スーツやスポーツ用品など不要な物を処分し始めました。
必要最低限のものしか手元に持たないと、家の中がスッキリします。
家の中が清潔になり広々として気持ちがいい、と言って楽しんでいました。
そしてアルバムを整理をし始めた父は昔のことが懐かしくなったのか、終日アルバムを眺めながら思い出話を母としたり、懐かしそうに当時のことを私達家族に説明してくれました。
話せば話すほどさらに記憶が甦ってきたらしく、父はレポート用紙に当時の自分の思いや記録を記し、写真もきれいに切り貼りしてまとめるようになりました。
父はまめな性格でそれはそれは丁寧に作っていました。
そして、作り終わるとそれだけでは飽き足らず、パワーポイントで思い出動画を作ったのです。
父はそれまでパワーポイントはほとんど使った事がなかったようなのですが、本を読んで自分で調べながら、終日パソコンに向かって楽しそうでした。
(パワーポイントで動画作れるんですね!)
そして動画が完成すると母や私たち家族に見せてくれます。
見るのはもちろんいいのですが、何度も何度も見せるのです...。
食後の休憩中にも自分で何度も見たり、親戚が集まるとまた見せます。
少しずつ修正したり追加して、また皆に見せます。
もう皆「またか」と顔を見合わせ、飽き飽きして困り顔です。
なぜならこの動画は今までの人生の振り返り、思い出に浸るためのもの。
父、あるいは母も楽しいかもしれませんが、私達は一度見れば十分! バージョンアップしたといっても、どこが変わったのか分かりません。
父はまだまだ元気なので、人生を振り返るよりも人生を楽しんで毎日過ごしてほしいのですが。
父は、今度は老人会で皆に見てもらうと言っています。
パソコンに詳しくなったのだから、旅行に行ってまたアルバム動画を作ればよいのでは? と父に提案しているのですが、整理するほうが楽しいようです。
しばらく生前整理ブームは続きそうです。
関連の体験記:思い出すだけで涙が。私の高校受験の前夜に「自宅で宴会を始めた父」を未だ許せません...
関連の体験記:「そんな気ないぞ、俺は」母が亡くなり一人暮らしの89歳父。兄夫婦との同居を断る「意外な理由」は...
関連の体験記:え、旅行中じゃないの...⁉「お母さんが大変だ。車で迎えに来てほしい」寡黙な父からの驚きのオファー
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。