<この体験記を書いた人>
ペンネーム:梅の実
性別:女
年齢:49
プロフィール:夫と2人暮らしの共働き。様々な世代が働く職場での勤務が多く、若い人からも先輩方からも勉強させてもらっています。
私が去年まで勤めていた会社では、20代から50代まで幅広い世代が働いていました。
上司を「さん」付けで呼んだり、同僚はニックネームで呼び合える雰囲気で、仕事上で疑問に思ったことがあれば、すぐにみんなで意見を出し合える、風通しの良い職場でした。
そんな職場に、久しぶりに大卒の男性新入社員が入ったのは4月のことでした。
彼の研修を担当することになったのは、私の同期の女性(48歳)。
年齢的には親子くらい離れていましたが、先述の通りの雰囲気の職場ですし、研修は順調に進んでいるようでした。
ところがある日、彼女とランチに行ったところ、新人くんに対してちょっと思い悩むところがあるというのです。
話を聞いたところ、研修のスケジュールは遅延することなく順調にこなし、教えたことはきちんとノートに書いてわからないことはすぐ質問してくれるので、すごくイイ子だと。
ただ、同僚が会議や外出で不在の時に自習するよう伝えた時に、教えた内容の復習を終えた後は何をしたらいいのかわからず、ぼーっと過ごしていたそうなのです。
つまりその新人くんは、与えられたことなら素晴らしいパフォーマンスを発揮するのですが、自ら考えて仕事を見つけるのは苦手なタイプのようなのです。
なんでだろうねえと同僚と話をしていると、意外な情報が出てきました。
「そういえば新人くんは大学のサークルで部長をしていて、サークル内はもちろん、他のサークルとの交流会をよく企画していたんだって」
そこで私はふと閃きました。
「そしたら、新人くんの歓迎会を新人くん自身に企画してもらうのってどうかな?」
「えっ? ...あ、けどサークルの話を聞く限り、そういうの得意そう。お酒はあまり飲まないらしいけど」
「お酒あまり飲まないならなおさら。自分が食べたいものが食べられる店を決めたら、歓迎会も苦痛じゃなくて楽しみになるからいいじゃない」
「そうね、やってもらおうかな」
こうして、新人さんは自分の歓迎会を自分で企画することに。
こちらからは日時と予算だけを伝え、あとはよろしく! と任せたのでした。
すると早速、彼はみんなの仕事の邪魔にならない範囲でリサーチを始めました。
休憩時間や通路ですれ違った時に、自分と同じようにお酒を飲まない人がどれくらいいるのか、食べ物の好き嫌いが激しい人はいるかなど情報を集めていきます。
そして当日、彼が選んだお店の料理はどれも美味しく、お酒を飲まない人も楽しめました。
本人の歓迎会はみんなが笑顔になった良き会になりました。
彼は開催前からリサーチなどで動き回っていたので、歓迎会だけを張り切っている新人なんて誰も思うこともなく、逆になかなか気が利くじゃないかと評判に。
後日、新人くんに幹事の仕事を労いつつそのことを伝えたところ、隠していた本音を話してくれました。
どうやら彼は、「社会人になるにはちゃんとしないと!」と思えば思うほど、どうしていいかわからなくなっていたとのこと。
歓迎会のリサーチで色んな人と話をするきっかけができたことで、少し肩の力が抜けたそうです。
また、歓迎会の企画と同じように相手が求めることは何かを考えて行動することも仕事と同じだと分かったと話してくれました。
その後、彼は仕事でも自ら様々な提案をしたり、社員同士の潤滑油になったりもする、「若いけどできる男」になりました。
なぜ、あの時「彼に幹事を任せてみたら?」と言えたかというと、実は私も同じような経験があったのです。
入社後空回りして1人で悩んでいたら、当時の先輩に社内イベントの企画を任されたんです。
社内の意見をまとめるうちに会社のみんなと色々話ができるようになり、仕事のことも相談したりできるようになりました。
とにかく、うまくいって良かった!
新人くん、がんばってね!
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