<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ひろえもん
性別:女
年齢:56
プロフィール:かわいい猫達とダメダメな夫といっしょに海辺の街で暮らす、どこにでもいるアラ還女です。
現在52歳の夫が減煙することを決心してから、かれこれ10年が経ちます。
夫の健康にとっては良いことなのですが、逆に私には「ムダなストレス」が溜まっている気がしてなりません。
まずは朝。
うちでは、毎朝4本、夫にタバコを渡すことになっています。
前日の夜に用意すると、「その日の夜中に吸ってしまい、翌朝には無い」と夫が言うので、こうすることにしました。
でも、そのおかげで、私は7時起床でいいはずのところを、ニコチン切れを起こした夫に毎朝5時半に叩き起こされるのです。
今までで一番腹が立ったのは、海外旅行の免税店でタバコ2カートンを買ってきた時のことです。
「いいか、これを隠してくれ。でないと俺は一気に吸ってしまうから」
そういって私に預けたのです。
できる限りのアイデアを駆使して、いろんな場所に隠したのですが...気づいた時には無くなっていました。
「もしかして、あなた取った?」
「あそこは簡単すぎるわ~」
笑いながら返してくる夫に、私のように真面目な人間は「何ふざけてんの?」と正直、イラッとします。
結局、免税店で買ったタバコの1カートン目の10箱のうち5箱は、私が隠した場所から自分で見つけて吸ってしまい、その残り、そして2カートン目がなくなるのもあっという間でした。
毎朝、私から4本のタバコを何食わぬ顔で受け取りながら、それとは別に自分で見つけたタバコを陰でスパスパ吸っていたようです。
なんだか必死で隠し場所を探していた自分がアホらしく、その時間も労力も無駄なのでやめたいのですが、夫は「タバコ減らしたい」というので付き合うほかありません。
そのくせ、馴染みの魚屋さんに「タバコ忘れた」と嘘をついて、タバコを分けてもらったりします。
そうしたことが、世間話を通して発覚するのですが、もう恥ずかしくて仕方ありません。
一応、分けてもらったタバコは「借りたもの」として後日返しているようなのですが、返した日はタバコが無く、一日中寝ているらしいです。
「有り金は全部タバコにつぎ込んでしまうので、あまり余分なお金を持たない」と夫が自分で決めた時は、こともあろうにかかりつけの歯医者さんに5000円を借りていました。
しかも、その言い訳があきれるんです。
「今日、妻に誕生日プレゼントを買おうと思ったのですが、あいにく持ち合わせがないのでお金を貸して下さいませんでしょうか?」
タバコ欲しさに、よりによって「妻思いの夫」を演じていたところが恐ろしいです。
しかもバレないようにちゃんと私にもプレゼントを買い与えておく用意周到さ。
確かに、その日、私は夫からプレゼントをもらいましたが、100円ショップで買った子供用のネックレスでした。
借りた5000円の内訳が妻へのプレゼント代100円、タバコ代4900円。
自分の行動がおかしいと疑問を抱かない時点でもう、救いようのない病気でしょう。
夫には節度を持って自分自身で何かを貫き通す意志がありません。
そのくせ「減煙している」というポーズを取りたがるので、周囲に迷惑がかかってしまいます。
さすがに呆れた私は、こう告げたことがあります。
「そんなに意志の弱い人間と一緒にやっていく自信が無くなった」
すると、夫はそっと手紙を渡してきたのです。
封を開けると中にはこんなことが書かれていました。
「俺のように肺が真っ黒の悪人より、肺が真っ白の白馬の騎士を探してくれ」
しかも...。
肺が真っ白の白馬の騎士と、肺の黒いみすぼらしい男のイラスト付きでした。
その「肺黒騎士」のショボい顔が...見事にツボにハマってしまった私。
なんだかんだ文句を言いつつ、未だに夫の減煙ゲームに付き合っています。
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