<この体験記を書いた人>
ペンネーム:Jenn
性別:女
年齢:52
プロフィール:フリーランス。外出自粛期間は、洗面所のリフォームに挑戦しました。夫と愛犬と3人暮らし。
私の両親は、たびたび仲人を引き受けていました。
幸せな結婚生活を送った人もいたのでしょうが、トラブルを抱えたカップルがよく両親の元に相談に来ていました。
別れる、別れないの危機的事情ばかりを耳にした私は、結婚へのあこがれや願望などを全く持たない大人になりました。
「〇〇家に嫁ぐ」「嫁姑関係」「仕事最優先の夫」などの問題がちょっとでも臭う人は初めから避けていたので、なかなか恋人もできませんでした。
私の条件に合致する男性がほぼいないまま、30代に突入する頃、4歳年上の英国人の男性と出会いました。
付き合った3年間、デートでは私の行きたいところに行き、焼き肉やステーキをよく食べました。
こんなに自分を変えることなくつきあえる楽な人は他にはいないと確信。
結婚は英国の両親に電話で簡単な報告をし、結納や両家顔合わせなど一切なく、私達が顔を見せに英国に行っただけ。
当時は、理想通りの結婚ができたと大喜びました。
そんな夫が、結婚後、食卓の肉じゃがを目にして「肉を残していい?」と言い出したのをきっかけに、その後はどんな料理でも肉を残しました。
そしてある日「実はベジタリアンなんだ」と告白されました。
「ステーキ食べたよね、焼き肉行ったよね......?」
「なぜベジタリアンだと言わなかったの? 一緒に生活するのに、これって重要告知事項じゃない?」
彼は、嫌われたくなくて私に合わせていたらしいのです。
「私のために...」と一瞬、ほっこりした気持ちになったものの、「ベジタリアンなのに自分の目的達成のためなら肉を食べるなんて、もしかして危ない人?」と一抹の不安がよぎりました。
「そんなに簡単に信念を曲げてどうする!」と思ったのです。
一方、彼はやっと言えた喜びに浸っていました。
「君に肉を食べるのをやめろとは言わないよ。やめた方が動物にも健康にもいいとは思っているけど」
ちょっと腑に落ちないものを感じた私。
とにかく目下の問題は、ただでさえ少ない私の料理のレパートリーが、肉が使えないことでさらにぐんと狭まることでした。
夫の要求は少しずつエスカレートしていきました。
出来上った料理から肉を取り除いただけではダメ、一緒に調理したらダメ、動物性のコンソメも使用したらダメ...
どんどん条件が厳しくなっていくのです。
「それなら自分で作ってよ」と思うのは私だけではないはずです。
しばらくすると私は、肉の味が恋しくなり、友人と食事に行くチャンスがあれば、肉ばかり食べていました。
そうこうするうち、徐々に夫婦の食生活をうまく分けられるようになってきました。
外食に行く前には、「夫が食べられるメニュー」があるかどうかを確かめます。
インスタントや半調理品を買うときは、もちろん素材をチェック。
肉のエキスが少しでも入っていたらNGです。
また、例えば自宅で作る野菜炒め。
まず野菜だけを炒めて2等分、私の分は豚肉、彼の分は納豆を後から投入します。
そしてすき焼きや鍋の時は、別々に作ります。
私のレパートリーも、豆腐やおから料理は各段に広がりました。
最近では、スーパーで大豆ミートを買えるようになりましたし、ベジタリアンレストランのメニューもおいしくなりましたよね。
しかも、いよいよ私も50歳を過ぎ、健康的な食生活をしなければならない年齢に達して、少し肉を控えようかな...と、ようやくストレス無く「2人そろっての食の楽しみ」が手に入りそうです。
あんなに注意して相手を選び、結婚生活に踏み切ったのに...。
結局のところ、問題は大なり小なり、いろんな形で表れる、ということを知らされたのでした。
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