<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ぺんぺん
性別:女
年齢:57
プロフィール:パートナーと二人暮らしですが、一応独身。体力勝負の仕事がいつまでできるか心配なアラ還です。
57歳の私と56歳の彼。
結婚はしていませんが、20年近く一緒に暮らしています。
彼はとても明るい人で、二人でお互いの仕事を応援しつつ、楽しく過ごしていました。
数年前のこと、技術系サラリーマンの彼の上司が変わり、今までノリノリで仕事をしていた彼が、だんだん家でもぼやくようになりました。
話を聞くと、新しい上司も悪い人ではなさそうですが、熱血タイプなのか専門外の私が聞いても「そんな事やって意味ある?」と思うような課題も多くなっていったようです。
彼は真面目な性格なので、言われた事に応えようと頭を抱えながらも頑張っていました。
「上司がそう言うならやるしかないよ」
「それができたら、やっぱりさすがですね! って言われるんじゃない」
出勤するときにこんな風に私が励ますと「そうかな? そうだよね」と笑顔をみせていた彼。
でも、夜にはぐったりして帰ってくるようにんりました。
朝は駅まで一緒に行くのですが、目に見えて歩くのがゆっくりになりました。
「もしかしたら行きたくないの?」
「分かっちゃった?」
私にあたったりする訳ではないのですが、目が虚ろになってため息をつく彼を見て、これはやばい、私はどういう態度でいればいいのだろうと悩みました。
まずは帰ってきても「今日はどうだった?」とは聞かない。
それから、例えば彼が電気を点けっぱなしでも、今までだったら「ちゃんと消してよ」と言っていたのを我慢。
ささいな事ですが、家にいるときは彼を否定、非難しないようにとても気をつかいました。
「辛かったら仕事を辞めてもいいんじゃない」
そう言いましたが、「うん......」と返事をするだけ。
これは良かったのかどうか、今でも分かりません。
ある夜のこと、帰ってきた彼がこう言いました。
「何にもやる気がしなくて、多分うつ病なんだと思う」
正直、自分から認めてくれてホッとしました。
ネットで近くのメンタルクリニックを探し、会社帰りに寄れる所を見つけ即・予約。
それから2週間に一度、金曜日の夜は一緒に駅で待ち合わせてクリニックに行くようになりました。
実を言うと、通院の日は晩御飯を作らなくていいし、クリニック帰りにちょっとしたデートのようになって、彼には悪いけれど私は少し嬉しい時間でした。
「今夜はメンタルクリニックだよ」
「コレ(飲む仕草)の日だね!」
ニコニコ顔の私に彼も笑顔を返してくれました。
温和ないい先生に当たり、投薬治療が始まるとひどく落ち込む事もなくなり、病状も落ち着いてきました。
そうこうする内に、再び上司の方が異動して職場環境が変わり、クリニックの先生からも薬と通院は終了と告げられて、半年ほどのうつ病暮らしは無事卒業となりました。
今では「メンタルクリニックの夜は楽しかったね」と笑いながら思い出話をできるようになりました。
それでも「何かあったらまた発症するかも」という不安はずっと残っています。
「真面目な人ほどかかりやすい」とか「考え過ぎるのはよくない」とよく言われますが、元々そういう人間なのだから変わるのは難しいと思うのです。
少し落ち込んで危ないかなと思った時は、「私がついているから大丈夫!」そう言葉に出して伝えるようにしています。
もしも再発してしまったら、こうしようと心に決めていることがあります。
私自身も考えすぎず普段通りに落ち着いてゆったり過ごすこと。
落ち込みに引き込まれないようにすること。
うつ病に対して、こうすることが正解はどうかは分かりません。
だけど、私はそうして彼と一緒にいたいと思うのです。
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