「10年ぶりに家事が普通にできた!」40代うつ病女性を家庭崩壊から救ったのは...⁉

心を蝕む「うつ」。それはストレスだけでなく「"質的な栄養失調"が引き起こすこともある」と栄養学に精通する精神科医・藤川徳美さんは言います。そんな藤川さんの著書『うつ消しごはん』(方丈社)から、実際に行ったサプリメントを用いる栄養療法「メガビタミン療法」で回復した症例エピソードを抜粋してご紹介します。

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※症例の血液検査が示す数値などについて......症例の中には、受診時の血液検査の数値が頻繁に登場します。栄養療法を実践するにあたり、タンパク質や鉄の充実度を測る指標にするためです。よく出てくる検査項目についてはエピソードの下で解説しています。

【症例】プロテイン+ATPセットで家庭崩壊の危機を救う

職業は医師で、3人のお子さんの母親(40代前半)です。

平成16年に第一子を出産後、うつ病を発症しました。

それ以降、近くの精神科クリニックに通院し、投薬治療をつづけていました。

こうした状態でしたので、出産後は医師の仕事には就いていませんでした。

ここ数年は、パキシル(抗うつ剤)40mgを処方してもらいながら薬物治療を継続していたということです。

パキシルを減量すると症状が悪化して動けなくなっていたということです。

平成29年10月、私の著書をお読みになった夫の勧めで当院を受診されました。

うつ症状のため、寝込んでしまう日も多く、家事や子どもの世話がこなせないとのことです。

生理の出血が多く、生理が終わるとさらに動けなくなってしまいます。

夫とも衝突することが増えてしまい、家庭崩壊の危機だと漏らされました。

3人のお子さんのうち、2人は不登校であることも心配でした。

血液検査の結果は、BUN9.2、フェリチン11でした。

顕著な鉄・タンパク不足です。

高タンパク/低糖質食+プロテイン(体重の1/2g)を指導し、パキシル40mgにフェルム(鉄剤)を追加しました。

サプリメントは、Nowアイアン36mg+B50+C1000+E400を開始しました。

翌11月、かなり元気になり、学校や地域の行事に出られるようになりました。

プロテインはしっかり飲んでいるとのこと。

ビタミンのナイアシン100mg×2も開始しました。

平成30年2月に入り、すっかり元気になり、活動的に動けるようになってきました。

血液検査は、BUN21.6、フェリチン72と改善しています。

家庭の中の状況も平和を取り戻し、家庭崩壊の危機を回避できたということです。

子どもたちにもビタミンサプリを飲ませており、情動が安定してきたとのこと。

本人も子どもたちに勉強を教える心の余裕が出てきました。

夫自身もサプリを飲みはじめて、情緒が安定してきたと感じるそうです。

ナイアシンを増量し、パキシルを2週毎に10mgずつ減量するように伝えました。

彼女は典型的な出産後の鉄・タンパク不足でしたが、プロテイン+ATPセット(鉄、B50、C1000、E400)にて3カ月で劇的に改善しました。

生理の出血が多い過多月経には、ビタミンEが有効です。

タンパク質と鉄の数値の改善が顕著でした。

お子さんたちも、おそらく鉄・タンパク不足が不登校の一因かと思われます。

あと3カ月つづけたら学校に行けるようになるでしょう。

その後、ほぼ1年経過していますが、患者本人は10年ぶりに普通に家事がこなせるようになり、PTAなどの学校行事にも参加できるようになりました。

3人のお子さんは、プロテインを飲めたり飲めなかったりの状況ですが、以前よりも学校に行けるようになっているようです。

〈女性のうつ症状改善のための参考量〉

ATPセットは、鉄+B50+C1000+E400。

鉄剤は、27mg×3~4錠、もしくは36mg×2~3錠を推奨します。

○基本量:
 B50、2錠、朝夕。
 C1000、3錠、朝昼夕。
 E400、1~2錠、朝。
 (鉄は夜)

○メガ量:
 B50、3~6錠、朝昼夕。
 C1000、9~12錠、朝昼夕(腸耐性用量の2/3程度)。
 E400、3~5錠、朝。


※症例の血液検査が示す数値などについて

「一般的な基準値」というのは、健康な人の多くの検査データをもとにして、統計学的に求められた数値のことで、95%の人が基準値の範囲に該当しているといわれています。なお、BUN(尿素窒素)とMCV(赤血球恒数)、およびフェリチンについては、当院独自の基準で判断しておりますので、「当院の目標値」として記しておきます。

・BUN(尿素窒素)......血液中の尿素に含まれる窒素成分のことです。高い場合は腎機能障害、基準値未満はタンパク質摂取不足です(重症の肝機能障害のときにも低くなります)。一般的な基準値8~20(mg/dl)、当院での目標値15~20(mg/dl)。

・RBC(赤血球数)......赤血球の数で、基準値未満は貧血が疑われます。一般的な基準値 男性:430~570(万個/μl)女性:380~500(万個/μl)。

・HGB(ヘモグロビン)......血液中の鉄の量で、基準値未満は貧血が疑われます。一般的な基準値 男性:13・0~16・6(g/dl)女性:11・4~14・6(g/dl)。

・MCV(平均赤血球容積)......赤血球の大きさで、基準値未満では鉄欠乏性貧血が疑われます(鉄欠乏性貧血=小球性貧血)。逆に大きすぎる場合(大球性貧血)には、ビタミンB12不足、葉酸不足が疑われます。一般的な基準値80~100(fl)、当院での目標値95~98(fl)。

・フェリチン......鉄分を貯蔵しているタンパク質の量です。一般的な基準値 男性:20~220(ng/ml)女性:10~85(ng/ml)、当院での目標値100(ng/ml)。

・メガビタミン療法......ビタミンやミネラル、プロテインなどのサプリメントを活用した栄養療法の考え方。

・ATP......アデノシン三リン酸。生体内のエネルギーを貯蔵したり、供給したりする、生きるための「エネルギー通貨」とも呼ばれる。「ATPセット」は、ATPをつくるためのサプリメントの組み合わせ。


第1回から読む:精神科医の治療記録「祖母が他界、娘は巣立って・・・」40代うつ女性

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113-H1-utsukeshigohan.jpg薬に頼らない栄養療法メソッドを全5章に渡って解説。著者が行う「メガビタミン療法」のサプリレシピも収録

 

藤川徳美(ふじかわ・とくみ)
1960年広島県生まれ。医学博士。1984年広島大学医学部卒業。2008年に「ふじかわ心療内科クリニック」を開院。うつ病の薬理・画像研究や、MRIを用いた老年期うつ病研究を行い、老年発症のうつ病には微小脳梗塞が多いことを世界に先駆けて発見。著書に『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』(光文社新書)などがある。

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『うつ消しごはん タンパク質と鉄をたっぷり摂れば心と体はみるみる軽くなる!』

(藤川徳美/方丈社)

やる気がない、目覚めが悪いなど体の不調は、あなたが摂っている「栄養の質」が悪いからなのかもしれません。何をどれだけ摂ればいいのか、どんな栄養が体にいいのか、薬に頼らず病を改善させる栄養療法をまとめた、心と体の処方箋です。

※この記事は『うつ消しごはん タンパク質と鉄をたっぷり摂れば心と体はみるみる軽くなる!』(藤川徳美/方丈社)からの抜粋です。
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