<この体験記を書いた人>
ペンネーム:くるくる
性別:女
年齢:47
プロフィール:義両親と同居のパート勤務です。
同居をしている79歳の義父が、去年、上の歯の「入れ歯」を作りました。
「歯医者さんにお世話になったことがない」のが自慢だった義父でしたので、何年かぶりに診てもらった途端、入れ歯まで話が進んでしまい、相当ショックだったようです。
とても嫌がって、ひと悶着ありました。
気持ちは分かる気がしましたが、先生の「きちんと噛めないと胃腸にも良くない」という言葉から、皆で説得する形で決めたんです。
そうして、渋々入れ歯を使い始めた義父ですが...
慣れないせいか使い心地が悪いのか、入れ歯をちょいちょい外して、あちこちに「無造作に置く」のです。
初めて玄関の靴箱の上に置かれた入れ歯を見つけた時には、本当にギョッとしました。
「なくすと困る物ですし、ビックリしますから」
そんな時はいつもこう言いながら義父に入れ歯を渡すのですが、一向にやめてくれる気配がありません。
それだけでも気分が下がるのに、義父は食事の間も、まるで果物の種でも出すかのように入れ歯を外して、当たり前の様な顔をして目の前に置くのです。
1度や2度ならまだしも...
この頃は、それが当たり前かのように頻繁になってきました。
入れ歯を出す時に義父は口を大きくモゴモゴさせるので、その動作が始まると、私は目を逸らすようにしています。
ですが、例え「出す瞬間」を見なくて済んだとしても、ずっと食卓の上に置いたままにするので、どうしても目に入ってしまいます。
食欲が落ちるな......
そう思いながら、誰かが義父に止めるように言ってくれるのを待っていました。
しかし...
驚くことに、他の家族は誰も、何も言わないのです。
食卓には義母と夫も一緒についているのですが、最初のうちはちょっとビックリした顔をしたものの、その時も、その後も何も言うことはありません。
みんな平気なの...⁉
そう不思議に思いながらも、何となく自分からは言い出しにくくて、私も気にしていない振りをしていました。
でも、出した入れ歯を食卓に忘れていくようになった義父に届けた際、こんなやり取りをしたことがあります。
「どうして出しちゃうんですか?」
つい聞いた私に、驚きの答えが返ってきました。
「必要ないから」
...つまり、説得されて作ったけど納得してなくて、だから慣れる努力もしたくないって事なのか...と、義父の行動が初めて腑に落ちた気がしました。
そして、半分は「家族への嫌がらせ」なのだろうな、と。
説得した一人として悪かったかなとも思いましたが、かと言ってずっと食卓に入れ歯が並ぶのは嫌です。
意を決して、夫に話をしてみたのですが...
「もう入れ歯の話には関わり合いたくない」
そう、聞き流されてしまいました。
しかも、「もう義母に相談するしかないか...」と考えている私の心を読まれたかのように「おふくろも同じだと思う」と一言。
全く取り合ってくれないのです。
夫や義母からの改善策が断たれ、我慢するしかなさそうですが、食欲もなくなるし「勘弁して」と言いたくて、本当にモヤモヤしています。
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