<この体験記を書いた人>
ペンネーム:あっちゃん
性別:女
年齢:49
プロフィール:49歳女性。父と一緒に建設業を営んでいます。
79歳の実父との事です。
私は20代後半で嫁ぎましたが、すぐに出戻ってしまい、それ以降実家で両親と同居しています。
仕事は父が始めた建築業を一緒にやっています。
父は一昨年に足の感染症を、去年は大腸がんを患いました。
どちらの時も医師や私の言う事を聞いてくれず、とてもストレスが溜まりました。
感染症のときは父が自分で病院に行きたいと言い出した事がきっかけです。
大腸がんのときは血尿が出ている事に私が気付き、病院に連れて行きました。
感染症は右足のひざ下だけでしたが、足首あたりにクレーターの様な傷が出来てしまい、毎日洗浄して保湿ゲルを塗る必要がありました。
浴室で簡単に出来る事なのですが、父は自分で一度もやりません。
私が帰宅するまでじっと待っているのです。
疲れて帰った時に、待っていましたとばかりに「さて、洗うか」と言われるとムカっとしました。
足の洗浄以外にも先生がお酒は控えるようにして、飲むとしても日本酒はやめようと言っても聞きません。
大腸がんで入院した際も検査を嫌がるほか、お風呂に頑として入ろうとしませんでした。
看護師さんから相談を受けて知ったのですが、私が促しても週に1回がせいぜいです。
また、水分を取るのを嫌がったり、着替えをしてもらうにも喧嘩になる始末です。
腸の出血のため、手術が出来る様になるまで日数が掛かった事もあり、とても疲れました。
幸い病院に行くのが早かった事もあり、転移もなく普通の生活に戻れましたが、今後を考えるとうんざりしました。
何だかいつも自分が父に振り回されている様な気持ちになり、これからは近所に住む兄夫婦に世話をお願いしようとまで考えました。
ところがある日、お客様と父が話しているのを聞くともなしに聞きいてしまったんです。
お互いの健康の話をしていたのでしょう、父が大腸がんの事を話し始めました。
どうせ大変だった武勇伝でもしているのだろう、と思っていましたが...違いました。
「あの日、朝から腹が痛かったんだけど、大した事ないだろうと馬鹿にしてたんだよな。でも、娘が下血してる事に早く気付いてくれたから助かったんだと思う。あいつは子供の頃から一番気の付く子供だった」
父はそう言っていたのです。
そこでふと、私が子供の頃からの父を振り返ってみました。
父は感謝の言葉をうまく言えずに何度もつまずくようなところもある、強がりで意地っ張りな人でした。
そんな父を思い出したら温かい気持ちが沸いてきて、少しだけ父に距離が近付いた様な気持になりました。
ただ......できればもう少し娘の言うことも聞いてほしいですね。
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