<この体験記を書いた人>
ペンネーム:セブン
性別:女
年齢:52
プロフィール:私の父はとにかくセコい。どんな時だってお金はできるだけ出しません。
昨年、叔母が亡くなりました。
叔母は父の姉で、父との関係はとても良好でした。
父と叔母は年齢が10歳以上離れていたこともあり、父にとっては母のような存在でもあったようです。
そんなわけで叔母の死は、父にとって相当のショックだったようで、訃報を聞いての取り乱し方は尋常ではなく、まるで幼子のよう。
「ねーちゃんが死んじゃった! ねーちゃんが死んじゃった!」と何度も叫び、見ているこっちがドン引きしてしまうほどの泣きじゃくりっぷりでした。
しかも、涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら「最後の~、お別れは~、キチンとしたい~~~!」と叫ぶのです。
私も父の深い悲しみを感じ「お通夜に行きたいのね?」「お葬式も行こうね」と優しく声をかけました。
父からは「うん、絶対に行きたい。連れてって」との返事があったので、私は翌日の通夜の準備に取り掛かりました。
泣きじゃくる父をなだめながら喪服、手荷物などの準備を終えました。
そこで私が「お香典、いくら包もうか?」と相談した途端、泣きじゃくっていて父が豹変したのです。
これまでの号泣がウソのように冷静さを取り戻し...ひと言。
「やっぱりオレ行かない」
思わず「え~~~!!!」と突っ込みたくなる私たち。
その様子は、さながら「良くできたコント」と言えるレベルだったと思います。
そこで私は改めて思い出しました。
私の父は「超人的にセコい」ということを。
あれは私の誕生日。
お祝いをしてやると誘われ食事会に出向いた時のこと。
ひとしきり食事を楽しんだ後、父の前に伝票が。
しかし、父は一向に財布を出そうとはぜず寝たふりを決め込みます。
見かねた夫が「私が...」と言いかけた途端、父はパチッと目覚め「ありがと~~~」と言いさっさと帰ってしまいました。
とても寝起きの老人とは思えない足取りで、私にお祝いの言葉を一つも伝えないまま。
あるいは、弟の結婚が決まった時もこうでした。
最初に口にした言葉は「おめでとう」でも「相手はどんな人だ?」でもなく......
「家には金はない」
だったんです。
結局、弟は結婚資金を全部自分で出しました。
でもその後...父はキャッシュで車を買っていたんです。3ナンバーのセダンの新車を。
そんなこんなを回想しながら、「虚しさ」でいっぱいになる私。
しかし、どんなに父がセコく生きたいとしても、叔母の通夜にも葬儀にも参列しないなんて、人として許されません。
とっても近しい親戚ですし、凄くお世話になった人なので、家族全員が最後のお別れをしたいと願っているのです。
しかしお金が絡むと父は一歩も引きません。
仕方ないので、「父を置いて行くかな?」とも一瞬考えたのですが、そんな事をすれば後で何を言われるか分かったものではありません。
それに、娘としてはそんな父であっても最後のお別れをさせてあげたいと思ってしまいます。
何より参列しないなんて叔母さんとご家族に申し訳ないと思うのです。
仕方なく「お香典、私がだそうか?」と父に伝えたところ...父は再び泣きはじめ「オレも行く~~~」と号泣するのです。
...なんじゃそりゃ。
結局父のお香典を私が出すことで一件落着。
最後のお別れをすることができました。
父のあまりのセコさに娘としてモヤモヤが止まりませんが、こういう形の「親孝行もアリかな」と、自分に言い聞かせるしかない私なのでした。
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