<この体験記を書いた人>
ペンネーム:みいな
性別:女
年齢:45
プロフィール:シングルマザー。母と息子と同居。
私が幼い時に父母が離婚し、母は私を女手一つで育ててくれました。
22歳の時に私も結婚し、息子を出産したのですが、同居している母と主人がうまくいかず、私も25歳でシングルマザーになりました。
母は息子の面倒を良くみてくれました。とても有難く、助けられてきました。
しかし、そんな息子が大学生になり、社会人として自立すると、今まで母が息子に費やしてきた時間がぽっかりと無くなってしまい、母1人で過ごす時間が多くなってきたのです。
その頃から、母は少し変な事を言うようになりました。
「近所の人に見張られている」「スーパーに行く時にあとをつけられる」。
今思うとこれが認知症の前触れだったのかもしれません。
それまで母は息子の世話に忙しく、近所に同年代の友達もいなかったので、週に2回デイサービスを利用することにしました。
最初はとても喜んで行っていたのですが、しばらくすると「職員の人達が私にだけ厳しい」「仲良くなった人が私の悪口を言っている」と言い出しました。
ケアマネジャーに相談すると、認知症の疑いを指摘されました。
病院の受診を勧められたので病院に連れて行くと、やはり認知症の症状、と診断されました。
進行を遅らす薬を処方され、服用を始めましたが、認知症はゆっくりと確実に母の人格を破壊していきます。
母は料理がとても上手な人でしたが、ガスや電子レンジの使い方も忘れてしまいました。
そして、昼夜問わず、いつも何かを探しているのです。
夜中や朝方に起こされ「財布がない」「カバンがない」「手帳がない」。
綺麗好きでいつもきちんとしていた母の部屋は、物がひっくり返されたまま、足の踏み場もない状態になりました。
洋服もきちんと着ることができなくなり、お風呂も2、3分で出てくるし、トイレも粗相をすることが多くなってきました。
また、私が休日に買物に行こうとすると「私を置いて結婚しに行くんだね」と泣き出したり、「部屋の電気が点かない」「お茶の入れ方を忘れた」など、仕事中にも携帯に電話が頻繁にくるようになりました。
困り切っていた私ですが、ここでなんとかしなきゃと思い立ちました。
医師から認知症は人と接した方が進行が抑えられると言われたこともあり、週2回のデイサービスを週5回に変更。
お風呂もデイサービスで入るようにし、紙パンツをはいてもらうことにしました。
デイサービスを増やしたことで、時々、現実と妄想が混沌とした状態にはなりますが、母は少し明るくなってきました。少しですがホッとしました。
母の介護は終わりが見えません。
将来を考えると何とも言えない気持ちになり悲しくなることもあります。
ですが今現在の母を受け入れて、自分も適当に気分転換をして仲良く過ごしていこうと思っています。
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