誰にでも毒舌で、すぐに色々なことを忘れてしまう認知症のお義母さんと、手足は不自由だけれど、しっかり者のおばさん(義叔母)。そんな個性的な2人との在宅介護の日々を描いた「伝説の介護ブログ」から、笑いあり、涙ありのエピソードをバニラファッジさんが再編集、連載形式でお届けします。今回から8回の予定でお届けするのは、在宅介護を行う上で必読となる「ショートステイ」のエピソード。送り出す側の苦労と送り出される側の悲哀...。ぜひ、ご一読ください。
もともと私はインドア派で、旅行の計画など立てるタイプではありませんでした。
しかし本格的な在宅介護が始まり、いよいよ気軽に出かけることが難しくなってくると「温泉にでも行きたいなぁ」と思うようになってしまいました。
そんな話をダンナにしたら、「じゃあ、結婚記念日に温泉に行こう」と話が進み始めました。
お義母さんとおばさん、要介護者が2人もいる我が家で、「介護者が出かける」となると...
まず相談する相手はケアマネージャーさんです。
ショートステイとは、一時的に施設に入所し、そこで介護を受けるサービスのことです。
介護者の体調不良や、急な用事で家を空けるといった時などに利用します。
以前、嫁が帰省する時におばさんは1人でショートステイを利用したことがありました。
しかし今回、お義母さんは初めてのショートステイ。
ケアマネージャーさんからは、いきなり2泊3日は心配だということで、少し短く1泊2日での「練習お泊り」をするよう指導されました。
実はお義母さんは、わたしたち息子夫婦と同居が始まってからは、ほとんど家を空けたことがありませんでした。
おばさんがまだ車の運転をしていた頃は、百貨店へ2人で買い物に出かけることもありましたが、認知症になってからは、病院に連れ出すのも大変なほど「外出嫌い」になっていたんです。
ふたりに「夫婦で遊びに行くから」とストレートに話すのはあまりにも荷が重いので、ショートステイしてもらう理由は「仕事」ということにしました。
そして、本番となる「2泊3日のショートステイ」の前に、プレで「1泊2日のショートステイ」があることも、丁寧に伝えました。
おばさんはすんなり納得してくれましたが、実はおばさんも施設でお世話になるショートステイにはとても抵抗があったようです。
しかし認知症のお義母さんと違って、「介護者の苦労」も理解できるおばさん。
その現実を受け入れなければいけないと、自分に言い聞かせていたようです。
しかし、「お義母さんには内緒にしておいてください」という私からのミッションが、この後おばさんを苦しめることになっていくのでした......。 (つづく)
【次の記事】すべては温泉旅行のためだけど...義母へのウソで「弱る義叔母」への葛藤...「2人一緒にショートステイ(2)」/バニラファッジ【最初から読む】姑と姑妹を在宅介護。両者の「紙おむつ」にまつわる葛藤/バニラファッジ
【まとめ読み】義母と義叔母のダブル介護!バニラファッジさんの記事リスト
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。