<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ちょここ
性別:女
年齢:52
プロフィール:将来の夢はユーチューバーな50代。
80代後半の母は、車で小一時間のところに1人で暮らしています。
近くに兄が住んでいてちょくちょく様子を見てくれているため、私は月に2〜3回実家へ行く程度でした。
ですが、最近母が何度も同じことを言うようになったり、今から行くと連絡してから行っても忘れていたり、若干ボケたか? と心配な状態に。
ちょうど私は子育てもほぼ終了し、自由になる時間も増えたところだったので、それからはできるだけ頻繁に実家へ行っては母の話し相手になって、一緒に過ごす時間を持つようにしています。
そんなある日、母の家にいると、中学生になる兄の息子が母の顔を見に来ました。
お小遣いなどをねだったり、私とも少しおしゃべりして帰って行きました。
私は「ああやっておばあちゃんが元気にしてるか見に来てくれんだねえ。近所に住んでるといいね。お小遣いをねだるのも可愛いよねえ。孫って可愛くて仕方ないんだろうなあ」と話しました。
私には子どもが3人いて、一番上の子は結婚してしばらく経ちます。
ですが、まだ子どもはいないので孫の可愛いさは実感できていません。
でも漠然ときっとすごく可愛いんだろうなあ、産まれたら可愛がるだろうなあと考えていました。
けれど、母のつぶやきがちょっと意外で驚いたのです。
「まあねえ、どの孫も可愛いねえ。あんたのとこの子も可愛いよ。でもそれもあんたが産んだ子だから可愛いんだろうねえ。やっぱりお母さんはあんたが一番可愛いけどねえ」
え〜、そういうものなのか!
確かに自分が産んで、長い月日をかけて育てた子どもの成長は、自分のことのようにうれしいものです。
立って、歩いて、しゃべって、そのうち進学して就職して結婚して。
その都度たくさん喜んでたくさん心配もしながら、そんな子どもが子どもを産んでその子を育てていく......。
大事な子どもが育てている子どもだから孫って可愛いのか、と考えさせられました。
そして今更ながらに、子どもができてからは母のことを「おばあちゃん、おばあちゃん」と呼びかけていたけれど、母にとって私は死ぬまで「子ども」なんだな、と心がじんわり温かくなりました。
そうです。一番可愛いといわれて、嬉しかったのです。
もうじき私も「おばあちゃん」と呼ばれるようになるかも知れません。
これからは母のことを「おばあちゃん」ではなく「お母さん」って呼ぼうかな、ちょっと照れるかな。でも私にとっても母は死ぬまで「お母さん」なんだものな、と思ったのでした。
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