20代で結婚して、2男1女を授かり、主婦として暮らしてきた中道あんさん。でも50代になると、夫との別居、女性としての身体の変化、母の介護...と、立て続けに「人生の転機」が訪れます。今回は「母の行動から考えた『信用される』ことの大切さ」についてお届けします。
前回、母の「夜中に施設で問題を起こす行為」についてエッセイを書きました。その後のこと。
前回の記事:「お母さんの口から舌が出たままです!」早朝4時、施設からの緊急電話の結末は・・・?
メンタルクリニックの先生に相談して薬を増やしてもらってからは、夜中に職員を起こす迷惑行為は収まったようです。ただ、"興奮を落ち着かせる飲み薬については1時間あければ最大3包まで飲むことができる"ということについて執着心を見せた母は、少し苦しければ
薬が欲しいと訴えて施設スタッフと揉めたようでした。
薬の投与は本当に難しいと思うのです。
訴えのまま飲ませれば、ふらつき転倒の危険性もアップするし、カラダの機能が低下すると誤嚥にもつながるし、良いことはありません。
なので、施設側も慎重になってくれています。それは責任感があって有難い行為だと思うのです。でも母はそれが納得できなのです。
先日、次男家族が帰省した折、母にとってのひ孫もつれて面会にいきました。最上級の喜びを全身で表し満面の笑みでひ孫と初対面しました。その笑顔をみると憎めなくはなってくるのですが、しばらくするとその薬について揉めたことを話しだしました。
「医者が飲んでいいと言っているものを、なんで医者でもない者からダメだと言われるかが分からない」それを施設職員にしつこく訴えたそうですが、だれからも的を得た答えが返ってこないというのです。
そりゃそうだ。施設スタッフは忙しい。
母のような面倒くさい人にまともに相手をしている暇はない。最後は職員も持病の糖尿病が悪化するからという大方嘘の理由をつけて母を納得させたようです。記憶力抜群で理屈ではなかなか引かない母への対応。これも仕方のないことです。
そんな母に、優しく接してくれている接骨院の先生。ホームでは無料でマッサージをしてくれているようです。その先生に胸が苦しくなるいきさつを母が話すと耳を傾けてくれて、それは「興奮している」という状態だと教えてくれたそうです。
「苦しいのは興奮してるからやねんて」と母。すごく納得している様子でした。
それを聞いた時に、「信用」って何よりも大事だなと思ったのです。多分、母はボランティアで施術してくれる先生との信頼関係を築いているのだと思うのです。なので、先生のおっしゃる言葉は素直に耳にはいるのです。
これが、私ならば「また、ええ加減なでたらめ言うて」「もし病気やったらどないすんねん」というに決まっています。施設スタッフに対してもきっとそうなんだと思うのです。
若かろうが老人であろうが、人間関係の本質的なことは変わらないと思うのです。
なので「何を言うのか」が大事なことではなく、「誰が言う」のかが大事なことなんだと思いました。信用できる人の言葉は素直に入ってくる。
息子家族がいたおかげでご機嫌な母の話を久しぶりにじっくりと聞いて気づきを得ることができました。これは有難いことです。
かといって、母の話をじっくりと聞く気力はなかなか出てきませんが・・・。
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