おしゃべり人形のことでも張り合う!?高齢婦人たちのバトルが意外な展開で迎えた収束とは...

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ズコット
性別:女
年齢:51
プロフィール:夫と、16歳の猫と暮らしています。

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いつも利用する地区の無料バス。田舎なので乗ってくる人数が少なく、ほとんどが知り合いです。そして、乗客の80%はご年配の女性でした。
ある日、そのうちの一人Aさん(80代)が人形を抱いて乗ってきました。通信販売で手に入れたというおしゃべり人形です。「△△ちゃん」と話しかけると「おばあちゃん、おはよう」とかわいい声でお返事するこのお人形。「お歌うたって」といえば「え~、はずかしいよ。でも、うたいま~す」と季節に合った歌を歌ってくれます。これにバスの中はもう大騒ぎ。何人もの人が抱っこし話しかけました。そしてAさんに「これ、いくら?」「どこで買ったの」と矢継ぎ早に質問開始。
ここで私は実はちょっといやな予感がしました。そしてそれが、見事に当たってしまうのです。

その後、無料バスに乗るメンバーうち3人がこの人形を購入し持ってくるようになったのです。バスの中はとてもにぎやかになりました。同じように「お歌うたって」といってもこのお人形たち、それぞれ違う歌を歌うのです。「あら~、あなたのは『はとぽっぽ』なのねえ」などと人形の「おばあちゃんたち」は楽しそうなのですが、私ははっきりいってやかましいわ!と思いました。

そしてそのうち、妙な自慢合戦が始まったのです。「△△ちゃんに、スカート作ってあげたの。ほら見て」「私が編んだ帽子もかわいいでしょ。色違いで編んであげようか」人形は帽子をかぶせられ、上着を着せられ、靴下をはかされてモコモコです。やがて手作り合戦も飽きてきたのか、今度は悪口大会が始まりました。「Bさんの人形、まつげが短くてかわいくない」「Cさんのは、いつも同じことばっかりしゃべる」と、その場にいない人の人形について、ヒソヒソヒソヒソ。鬱陶しいことこの上ありません。やがて最初に人形を持ち込んだAさんは、✕✕ちゃんという最新バージョンの人形を買い、「クイズを出してくれるの」と得意顔で登場しました。これには「2つもいらないわよ」「△△ちゃんはどうしたのかしら」と陰口を叩かれることになりました。

しかし、この戦いは思わぬ形で終わったのです。

事情を知らない人が、人形を抱いて歩いているDさんを目撃し、そして心配になったその方はDさんの息子さんに「お母さん、大丈夫なの?」と話したのでした。そしてDさんは息子さんから、かなりきつく注意されたとのこと......と、人形を買っていない人から聞きました。
その後Dさんは人形を持ってこなくなり、Dさんと親しいCさんもやめました。気まずくなったのか、Bさんもやめてしまいました。ただAさんだけは、まだ連れてきています。
ただし、バスの外では大きな布バッグに入れて隠すようになりました。
私はやっと張り合い合戦が終わったのかとホッとしたのでした。

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