つい人の目を気にしてしまうのは「自分を認めてほしい」という"承認欲"が原因/反応しない練習(6)

pixta_30682976_S.jpg誰かの言葉にすぐ反応。SNS、ツイッター、ネット記事に常に反応......毎日、ムダな「反応」をしていませんか? すべての「苦しみ」は、自分が「反応する」ことから始まっています。それを理解することが、悩みを解決する第一歩です。
本書『反応しない練習』で、ブッダの超・合理的な考え方を学び、あなたも‟反応しない練習"を始めてみましょう。

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前の記事「心とは求め続けるもの、ということを受け入れる/反応しない練習(5)」はこちら。

「それに、一体、何の意味があるのだ」

先ほど出てきた「周囲への物足りなさ」という悩みについて"七つの欲求"にさかのぼって考えてみましょう。その不満は、どの欲求から来ているのでしょうか。

現代の私たちにとって最も切実なテーマは"承認欲"―「認められたい(認めてほしい)」という欲求です。これは人間だけにある欲求で、動物にはないのだそうです。

承認欲は、子どもの頃は「親に愛されたい」という素朴な欲求として現れます。成長すると、「ほめられたい」とか「優等生でいたい」「人気者になりたい」といった自意識に育ちます。大人になれば、「人に尊敬されるような仕事や地位を」「スキルを磨いてキャリアアップを」といった上昇欲や、「自分は他人より優れている」という優越感やプライド、逆に「自分はダメな人間だ」といった負い目や劣等感にもなります。

こうした思いを作っているのは、「自分を認めてほしい」―注目してほしい・愛してほしい・評価してほしい―という承認欲です。この欲求で外の世界に反応すると、「周りは期待に応えてくれない人間ばかり」だから、不満や物足りなさを感じます。人間も世の中も「なっていない!」と憤慨したりします。

つまり、「他人の小さなことが目について、不満を感じてしまう」という悩みの正体は、「もっと自分を認めてほしい!」という承認欲だったりするのです。人によっては、幼い頃のさみしさから、その思いは続いているのかもしれませんね。

ブッダの考え方の基本は、「まず、理解する」ことです。実際に、こうやってみましょう。「そうか、わたしには満たされていない承認欲があるのだ」

「この不満は、承認欲の不満なのだ」

「承認欲」を「欲」「欲望」「欲求」などに置き換えても、かまいません。このように、繰り返し、言葉で、客観的に理解するように努めます。すると、反応が静まっていきます。

「承認欲」は、人の目が気になってしまう性格や、嫉妬心、比較して優劣や勝ち負けにこだわってしまう心理など、さまざまな悩みの原因になっています。「この反応の理由は承認欲だ」と理解しないと、つい反応して、人の目を気にして、嫉妬に駆られ、較べたり、競争したりして、舞い上がったり、落ち込んだりと、動揺しまくりの人生を繰り返すことになります。

「ある」ものは「ある」と、まず理解することが、一番正しい心がけなのです。「わたしには承認欲があるのだ」と、素直に受け入れてしまう。不思議なことに、それだけで、あれほどの不満―それまでの憤懣(ふんまん)、物足りなさ、さみしさ―が収まっていくことがあります。

承認欲という、それまでの「心の渇きの正体」がわかるだけで、その不満状態から抜けてしまうのです。

承認欲という「反応の原因」がわかれば、ずいぶんラクになります。「でも、あの人(家族・世間)に認められたところで、それが一体なんなのだ?」と、超クールに考えられるようにもなります(ほんとに、それが一体何だというのでしょう)。

 

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草薙 龍瞬(くさなぎ・りゅうしゅん)

僧侶、興道の里代表。1969年、奈良県生まれ。中学中退後、16歳で家出・上京。放浪ののち、大検(高認)を経て東大法学部卒業。現在、インドで仏教徒とともに社会改善NGOと幼稚園を運営するほか、日本では宗派に属さず、実用的な仏教の「本質」を、仕事や人間関係、生き方全般にわたって伝える活動をしている。著書に『悩んで動けない人が一歩踏み出せる方法』(WAVE出版)、『独学でも東大に行けた超合理的勉強法』(サンマーク出版)、『消したくても消えない「雑念」がスーッと消える本』(大和出版)がある。著者ブログはこちら。 

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『反応しない練習』
草薙龍瞬/ KADOKAWA)

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