<この体験記を書いた人>
ペンネーム:mamapanda
性別:女
年齢:45
プロフィール:正統派マダムに憧れる普通の主婦です。
ご近所付き合いしている人の中に、少し派手で目立つ存在の自称マダム(60代)がいます。いつもご自分のお洋服や持ち物、旅行に行った話など、自慢話を聞かされるのが周りの役目。ご近所のお仲間の中では年も上の方なので、皆うんざりしながらも「すごいですねー」と相槌を打つのが習慣となっています。
その自称マダムが先日、「自転車で走っていたら女の子にぶつかりそうになって、『ボーッと歩いてんじゃねーよ!』って怒鳴りつけてやったわよ!」と笑顔で話していました。某テレビ番組で流行語にもなった決め台詞を活用したのよ、私すごいでしょ、と言わんばかりです。けれどもよくよく聞いていると、ぶつかりそうになったのは小学生か中学生の女の子で、自分が歩道を走っている前を歩いていて邪魔だったから、とのことです。でも、自称マダムはそんなとき、自転車のベルを鳴らすような下品なマネはしないようにしているから、その代わりに流行語で怒鳴りつけてやったとのことです。
これを聞いた私は驚きと共に怒りが湧いてきました。それは明らかに暴言としての間違った使い方で、何とも品のない、聞いていて気分の悪いものでした。きっと背後から突然自転車にぶつかられそうになり、罵声を浴びせられた女の子は、怖い思いをしたでしょう。
この流行語は番組の主役の女の子の可愛らしさがウリで、さまざまなノウハウを身に付けることを勧める、大人にも子供にも人気の番組であるからこそ皆に親しまれている言葉です。それをこんな使い方をして、ましてやそれを自慢気に話しているなんて、子供達には絶対に聞かせたくない、と思いながらも、人生の先輩でもあり何も言えずモヤモヤしていました。
もちろん周りも、いつもの「すごいですねー」と言う人は一人もおらず、ただ無言の嫌な空気が漂っていました。
するとそこに、自称マダムと同年齢の正真正銘マダムがスッと前に出て仰ったのです。「まー、良いお手本されましたね。いくら流行語とは言え、あの言葉には私も疑問を抱いておりましたのよ。貴方もそう思ったのでしょう? きっとその子は、その言葉を今後使うことはなさそうね。やはり私達が正しい言葉遣いを教えてあげなくちゃね」とピシッと一言。悪い言葉遣いを教えた良い見本ということで収めてくれたのです。
これには自称マダムも苦笑いするしかなく、周りの皆もスカッとしました。自称マダムがあの流行語を使うことはもうないでしょう。さすが本物マダムです。
その度量の広さと凛とした態度こそが、子ども達の見本になります。改めて自分自身も「我が振り直せ」と肝に銘じました。
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