<この体験記を書いた人>
ペンネーム:老婆心
性別:女
年齢:60
プロフィール:最近始めたパート勤め。若い社員さんに交じって久々の社会復帰に気分も若返り、張り切って仕事に取り組むシニアです。
シニア世代の新入社員となった私。20年以上のブランクを経ての社会復帰、パート勤めです。感心したことは、社員さんたちが一様に丁寧な言葉遣いでしっかりとした応対をしていることでした。電話の受け答えも5W1Hを入れ込み、きちんとした社員教育がなされていることが感じられます。私の若い頃と比べて社会情勢も変化し、最近は些細な言動でもパワハラ、セクハラ、モラハラなどと騒がれるからでしょうか、社内組織のマニュアルも整備されており、整然とした印象を受けます。
しかし、一方で、枠からはみ出さないように、マニュアル以外の余計なことはしないように、というようながんじがらめの規則に縛られてしまっているようにも思えてきました。
私の配属されたフロアには4つの課があり、それぞれ一人のパートさんが働いていますが、給湯室、ゴミ出しなどは共有で、当番制での役割分担をしています。皆さんベテランで、陰湿ないじめも感じられません。
ある日、私の所属するA課での仕事が一段落し、ほかの課を見渡すと、とても忙しそうにしています。ゴミ箱もいっぱいになっていたので、黙ってそこを片づけ、わが課のゴミと一緒にしました。資源ゴミについても同様にしたのです。どうせ一緒に捨てるのだからと、何のためらいもありませんでした。また、私のわかる範囲でカウンターの整頓もしました。
しかし、そのことを知ったその課のパートさんは、給湯室に私を呼び込み「ゴミを片づけていただいたのはありがたいけれど、ほかの課のことをするには社員さんの許可がいるから何もしなくていいからね」と言われたのです。
このトシまで生きてくると、世の中の仕組みも多少はわかってきたつもりです。会社組織の中ではそこでのルールに則り、決してそこを逸脱しないようにということも。それでも外部から入り込んできたら、見えない部分の気づきもあり、ついつい「こうすればいい」とか「ちょっとここを変えればいい」などという老婆心がわいてきたのも事実です。
ゴミ捨てのことは、そんなこと以前の問題と思っていましたから、ほかの課の仕事という意識もなく、ひとことの断りもなく「勝手に」してしまったので、そういう私もいけなかったのかもしれません。ただ、意外な反応に心にさざなみが立ってしまいました。
小さな親切、気づきを行動にすることが、今では「迷惑行為」、「越権行為」とみなされてしまう。余計なことをしないことこそが組織の潤滑な運営であると思い込んでいるのならば、それはちょっと違うのではないのか?と疑問にも思えてきます。もっと風通しのいい環境で仕事ができることこそ「働き方改革」の第一歩とも思うのです。働く時間、組織などのハード面もさることながら、もうすこし柔軟な「意識改革」ことこそ重要なのではないかしら?
えっ? もしかして私自身のそんな考え方こそが古臭くて、融通の利かない?マニュアルを妄信するような意識改革のほうが必要なのかしら?と思い迷う毎日です。
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