60歳をすぎても、「今日行くところ」と「給料日」がある......これって思った以上に幸せなこと。趣味に、おけいこに、交友関係にと、老いの時間を豊かに生きるためには毎月ちょこっとでも現金が必要。「年金だけでは暮らせない」と不安に怯えるよりも、仕事を探して働きませんか。いきいきと働くシニアに取材して、仕事を得るノウハウや、自分らしく働き続けるコツを、実例を交えてご紹介します。
※この記事は『65歳で月収4万円。 年金をもらいながら ちょこっと稼ぐコツ』(阿部絢子/KADOKAWA)からの抜粋です。
現役で働く60代の声を聞きたい
私はいま70歳ですが、70代もずっと、いや80代になっても働きたい、と思っています。もともと働くことが自分の性格に合っている、それに外に出て社会を見るのが楽しい、人の役に立っているという実感があるからでしょうか。
身体が動くうちは、暇を持て余して家にくすぶっていては損だと思っています。しかし、これは私の考えで、実態はどうなのでしょう。
働く60代の実像を知りたいと考え、一般の方々にアンケートをとってみることにしました。働いているのかいないのか、あるいは積極的に働きたいのか仕方なく働いているのか、働いているとすればどんな仕事に就いているのか、その仕事はどうやって探したのか、収入はいくらくらいあるのか。働く60代の実像について、大雑把でもよいから、その姿をつかみたいと思ったからです。
そして、現役で働く60代の人の話を聞きたいと、実際に働いている人を見つけ出し、仕事はどうやって探したのか、仕事に就くまでの具体的な経緯について、仕事は大変なのか楽しいのか、またどんな気持ちで働いているのかなど、働く60代の声を集めてみました。
アンケートから見えた実像は
〝今がいちばん輝いている!〟をテーマに、50代以上の女性に向けて、さまざまな情報を発信している月刊誌『毎日が発見』に協力を仰ぎ、読者モニター200名の方にアンケートへの回答をお願いしました。
アンケート総数200件、その内、回答をいただいたのが183件。回答をお寄せくださった方のほとんどが女性で、それは『毎日が発見』の読者が、圧倒的に女性が多いことに由来しています。
年齢別にみると、50代8%、60代72%、70代14%、80代6%となり、60代の方からの回答が圧倒的に多く、その関心の高さを実感しました。
回答いただいた183名のうち、現在も現役で働いている人が82名、働いていないけれど機会があったら働きたいと答えた人は38名、働いていないし働く予定はないと答えた人は63名でした。
働きたい人と働かない人の理由
働いていないが機会があったら働きたい、と答えた人の理由としては
「年金額が少ないから」
「年金だけの生活では不安なので」
「少しでも収入があるのはうれしい」
「お小遣いが欲しい」
「自由に使えるお金が欲しい」
「社会の役に立ちたい」
「社会参加したい」
「社会とつながっていたい」
「子どもが巣立ち、夫婦二人になり、家事だけしていては息が詰まりそう」
「生きがいが欲しい」
「両親の介護と孫育てが一段落したら、働きに出たい」
「フルタイムではなく、週に1回か2回のパート仕事があれば、働きたい」
「働きたいが、仕事から離れていた期間が長いので不安がある」
また、働いておらず今後も働く予定はない人の理由としては、「結婚して以来、一度も働いたことがない」という方がいる一方、「60歳で定年退職するまでずっと働き、完全燃焼したので、家庭に帰ってスローペースで余生を満喫したい」という女性もいました。
「家事以外の自由時間は、自分のために使いたい」
「貴重な時間を、新しい仕事に慣れるために使いたくない」
「家庭菜園で忙しい」
「ペットと遊ぶ時間が欲しい」
「ボランティアをしている」
「趣味や習い事で手いっぱい」
「家族の介護をしている」
「耳が聴こえにくいので」
「膝が痛くて歩くのに杖が必要」
「高齢なので」(70代、80代の方)
仕事より趣味や習い事を優先したいから、家族の介護や自身の健康、高齢を理由に挙げる方が多く目立ちました。
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