病院大嫌い!そんな母が認知症外来を受診したきっかけ/石塚ワカメ

みなさまこんにちは。アルツハイマー型認知症を発症した実母の近距離介護を行っている石塚ワカメです。

前回の記事:アイロンで部屋を暖める⁉ 本来とは違う役割を持ち始めた母の身近な道具たち

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を昔から公言していた実母。
本人はもちろん、子供たちもよほどのことがないと病院に連れて行ってもらえず、私は三人きょうだいの末っ子ということもあってか、学校の行事にも滅多に来てもらえませんでした。
そんな実母ですから、認知症外来の受診に連れて行くまでに骨を折ったわけですが、今回はそのときのエピソードをお話したいと思います。

 

当時まだ一人暮らしをしていた義母。
実母はもともと天然なこともあったので最初は気のせいってことにしていたのですが、時間が経つごとに天然の域を超えた奇行が増えてきて、いよいよ認知症外来への受診を避けられない事態に相成りました。しかし相手は病院嫌いな実母。さあどんな手を打つか...。

まずは単刀直入に「実母は認知症の疑いがある。早めの治療が必要だから病院行こう」と言ってみましたが、「私は認知症じゃない!私がおかしいのはもとからよ!」と一刀両断。
次に「息子を病院に連れて行きたいから、一緒についてきてよ」と孫をダシに使ってみるも、「病院嫌いだからイヤ!」。
ほかのきょうだいや実母の友人からも通院の説得をお願いしてみるも全敗...。
ぐぬぬ...思ったとおり手強いぜ!

そんなある日、実母の様子を見に、息子を連れて実家に泊まりに行ったときのこと──
活発な息子を連れての移動でヘトヘトになって実家にたどり着くと、目も当てられないほどぐちゃぐちゃに汚れて異臭を放つ部屋。そして「最近、知らないうちに部屋の中が荒らされている。この家おかしいの!」と言う実母。
当時まだ、認知症患者への対応方法も不勉強で、実母の認知症による変化を受け入れられなかった私。実母のそんな発言に「そんなわけないじゃない。実母が自分で散らかしたんでしょう」といちいち反論(ダメ!ゼッタイ!)。
実母にしてみれば、自分が部屋を荒らした記憶がないんだから、別の誰かのせいにするしか納得できない。
そんな会話を繰り広げてお互いにイライラがピークに達したところで──

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息子が、実母が大切にしていた化石を割ってしまったのです。
粉々になった化石をかき集めながらワナワナと震える実母...。私との会話で積み重なったイライラもあって我慢が臨界点に達してしまったようです。しかし小さな孫にぶつけることはためらわれたのか、その矛先が私に向けられたのでした。

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実母はもともと穏やかな性格で、活発な息子の数々のイタズラはおろか、私に対しても成人してからは怒ったことがありません。

今回のことも、以前の実母だったら「まあ仕方ない!」と笑って許してくれたはず。
認知症になると怒りやすくなるって聞いたことがある。これはそれであって、本心ではないのだ!と、必死に自分に言い聞かせたのですが、実母からネチネチと発せられる私へ恨みつらみに耐えられなくなり、急遽帰宅することにしました。

帰り道、実母に「今日は怒らせちゃってごめんなさい。実母のことをただ心配しています。マンションを売って自分のお金にする気なんてさらさらないです」とメールしておきました。

翌朝、実母から泣きながら電話が。「昨日は本当にごめんなさい。あんな思ってもないこと言うなんて、私やっぱりおかしくなっちゃったみたい。ワカメちゃんの言うように病院に行く!」自分の変化と、認知症外来への受診を認めたのでした。

実母の気が変わらないうちにすぐに認知症外来に予約。こうして無事、認知症外来への受診の鍵を獲得できたのでした。

本人も周りもなかなか認められない認知症という病気...。
認知症外来への最初の受診は、決して容易いことではないかと思いますが、みなさまが気を強く持って柔軟に対応できますよう!

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健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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石塚ワカメ

70年代生まれのイラストレーター。二児を育てつつ、近距離に住む実母の介護も行う、仕事・育児・介護のトリプルハードワーカー。ブログ「ワカメ絵日記」を運営。著書に「妊娠さらし絵日記(飛鳥新社)」「毎日が育ジーザス!!(主婦の友社)」がある。

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