<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男
年齢:58
プロフィール:二人の子どもは独立し、妻(56歳)と二人暮らしの58歳の男性です。夢は夫婦二人の熟年旅行なのですが。
子供達が2人とも家を離れ、夫婦2人の生活が始まって半年ほどになりました。
久々の新婚気分などと言い合っていましたが、コロナ禍でお出かけもしにくく、休日は一日中2人きりのことも増え、若干の閉そく感も感じていました。
そんな状態の中で、Go Toトラベルのキャンペーンもあり、「夫婦でどこかに旅行に行こうか」という所まではすぐに決まりました。
Go Toトラベルが一時停止になったため断念しようかと思いましたが、再開後に行けるよう計画だけでも進めることになったのです。
ところが、行先がなかなか一致しません。
妻(56)は大好きな某テーマパークに行きたいと言い、私はせっかく安く済むのだからと高級旅館の温泉旅を主張しました。
「高級旅館なんかもったいない」
「テーマパークは予約が取れないぞ」
「Go Toとはいえ元が高ければやっぱり大変」
「テーマパーク自体は値引きにならないんだから、それこそもったいない」
どちらも融通は聞かないタイプなので、議論は平行線でした。
このままだと夫婦旅行どころか突然の決別さえあり得るかも、と不安に駆られた私はつい譲歩してしまいました。
「テーマパークの予約が取れたら行ってもいいけど...」
「ほんと? 約束したわよ」
「その代わりチケットが取れなかったら」
「はいはい、その時は高級旅館でもなんでも付き合いますよ」
妻有利な気もしますが、話がまとまりました。
正直な話、私はテーマパークが苦手です。
子供がいた頃は何度か訪れましたが、おとぎの国の雰囲気は、私はどうもなじめません。
アトラクションも「速い、高い、怖い」が苦手な私はお付き合いでしか乗りません。
私の役割は並ばずに乗り物に乗れる券を取りにパーク内を駆け回るか、パレードの場所取りで一人で時間つぶしをしているかのどちらかです。
チケットを予約するのはなかなかに大変だと聞いていたので、どうせ無理だろうと高をくくっていました。
しかしその合意以来、妻は朝からスマホに向かって格闘を続けていましたし、仕事に行っても、仕事の合間を縫ってはチケット確保の挑戦を続けているようでした。
「そろそろ諦めたら? 夫婦2人でゆったり露天風呂付きの部屋なんてのもいいだろ?」
「そんなのはまだ10年、いや20年早いわよ」
「テーマパークもマスクをつけて消毒しながらじゃ楽しめないだろ?」
「新しい日常ですからね。そういうのも経験しとかなきゃ」
そんなやり取りを数日続けていました。
そんなある日、妻が勝ち誇った表情でスマホの画面を見せてきました。
そこには確かに来月のテーマパークの予約確定の文字が表示されていました。
「やったわよ! これで約束通り、来月にテーマパーク行きで確定ね」
「え、あ、いや、あの、でもさあ...」
「いまさらぐずぐず言わないで。さあ、新幹線のチケットとホテルも取らなくちゃ!」
ルンルン気分でスマホで旅行サイトの検索を始める妻を、なんとも割り切れない気持ちで見つめていました。
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