20代で結婚、2男1女を授かり、主婦として暮らしてきた中道あんさん。でも50代になると、夫との別居、女性としての身体の変化、母の介護...と、立て続けに「人生の転機」が訪れます。そんな激動の中で見つけた「50代からの人生を前向きに過ごすためのヒント」。
現役世代と同じように現在も仕事をしている60代の中道あんさん。「まだまだ自分は働ける」と思いつつも、老後のお金のことも気になります。中道さんのお母様が老人ホームに入居したのは77歳、その後6年間にかかった介護費用を計算してみると...
【前回】仕事に占領されっぱなし。「私だけのひとり時間」の取り戻し方
私は、60代に突入しても相変わらず現役世代並みに働いています。
55歳で会社員を辞めたときにいただいた雀の涙ほどの退職金を自己投資に使い、それを元に「稼ぐ力」×「貯める力」×「増やす力」をつけていき今にいたります。
50代のころは自分の老後より、親の老後とどう向き合うかで頭がいっぱい。
58歳のときに母を亡くして、やっと介護が手を離れたという気持ちしかありません。
まだまだ自分は働けると思っている一方で、老後のお金のことも気になります。
母が老人ホームに入居した時期がいつ頃だったか記憶をたどってみると、それは母が77歳、2015年10月でした。
亡くなったのが83歳、2021年10月まで6年間お世話になりました。
できたばかりの有料老人ホームだったこともあり、真新しい部屋の中から好きな部屋を選べる幸運にも恵まれ、当時ヘビースモーカーだったので中庭には喫煙コーナーまで作っていただくという手厚さ。
数々の迷惑をおかけしたので、思い出すたびに感謝しかない施設スタッフの皆さん。
最後は、「ここ以外で暮らしたくない、介護度が3に進んだら特養に移らねばならないのか?それだけは嫌だ!」というほど母は気に入っていました。
会社員だった父と専業主婦だった母。
父が亡くなったあとの年金支給額は月に18万円ほど。
私は、母が施設に入所してからすぐ通帳を預かって、母にはお小遣いを渡すという「お金のルール」を作りました。
母にかかる費用のやりくりは、すべて私の裁量に任されたのです。
私はお金のイニシアチブを人に委ねるなんて絶対にイヤですが、依存心の強い母にはそれが良かったようです。
なんたって「お金」の責任から逃れられますから。
母が亡くなり、施設からこれまでの生活を撮ったアルバムを贈っていただいたのですが、その中の1枚にあった「七夕祭りの笹に<もっとお小遣いが増えますように>と掛けられた短冊の写真」。
そこで思い出した当時のこと。
施設に面会にいって、その短冊を見た私は、「お婆ちゃん! なんていうことを書くねん」と恥ずかしいやら可笑しいやら、複雑な心境でした。
いくらでもお小遣いを渡せればいいでしょうが、やはり「使えるお金」は限られてしまうものですから、欲しいだけ渡すなんてことはできません。
思い返せば厳しい娘だったかもしれません。
母の介護に使ったお金は全てノートに記帳していました。
収入は2カ月に一度の年金。
支出は施設の入居費・介護費・医療費・日用品・小遣い・美容費などで毎月25万円ほど。
足りない分は預金から使っていくので、母の資産は増えることなく減る一方。
このままでいくと、あと2年ほどで底をつく...という時にあっけなく天に召されました。
葬儀費用や細々とかかった費用で残っていた貯金もすべて使いきり、体操競技の着地がピタッと決まる! 昔のあの10点満点! を彷彿させるかのようなフィニッシュでした。
もう、お見事としか言いようがありません。
母にかかった介護費用は、だいたい月25万円×12カ月×6年で1800万円です。
つまり、私にも、それくらいは必要かもしれないということ。
将来自分がどうなるかなんて分からないことを、むやみにいまから心配したところで無駄です。
しかも、いくらあれば安心なんていう金額もあるようでないもの。
とはいえ、年金だけではどうしようもないのも確かですから、子どもが独立したら、
✓子どもにいい顔してお金を使いすぎない
✓子どものためより自分のために貯金する
✓いつまでも働ける肉体作りと健康に時間を投資する
✓いますぐ、一生使わないつもりの積立貯蓄を始める
✓「お金」が増える仕組みを構築する
✓どうしたら稼げるようになるか勉強する
できるだけ長く働くか、働かなくてもお金が入ってくる仕組みをつくるか、50代をその準備期間に充てることをおススメしたいです。
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- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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