20代で結婚、2男1女を授かり、主婦として暮らしてきた中道あんさん。でも50代になると、夫との別居、女性としての身体の変化、母の介護...と、立て続けに「人生の転機」が訪れます。そんな激動の中で見つけた「50代からの人生を前向きに過ごすためのヒント」。
28年前、人気のエリアで新築一戸建てを購入した中道あんさん。当時は家の価値についてあまり深く考えてはいませんでした。しかし住み続けていると思うこともいろいろあり...。
【前回】「子離れ」できてる? 母親ができることは「人生を楽しむ後ろ姿」を見せることくらい
新築一戸建て購入をした人がわずか1年で引っ越しすることになり、家を手放し、査定価格でスグに売れたというコラムを読みました。
確かに売りたいときにスグ売れるかどうかは持ち家の不安要素の一つ。
ある営業マンから「家と車は新品を買うな」と言われたことがあります。
理由は、購入したとたんに中古になるから、価値が下がるので損だというのです。
でも、人生で一番大きな買い物を、手放したときを想定して買う人はどれほどいるのでしょうか。
持ち続けると思えるから買えるのだと思います。
しかし、買う時も売る時も同じ不動産屋さんに頼んで1年で10%も価値が下がったとしたら、私は落ち込んでしまうかもしれません。
しかも売買手数料を100万近く支払うとしたら、合わせれば相当額の損失だと思うのです。
例えばその家を新築2500万円で購入し2250万円売れたとしましょう。
フルでローンを組んだので残金は、ほぼそのまま残っている。
売れたお金と貯金を崩してローン残高を完済。
すると売買手数料と合わせ300万円以上の持ち出しです。
1年住んだということで、その差額と手数料を足した分を家賃として考えるなら、大阪では結構いい家に住むことができます。
「いい家に住んだと思えば...」と自分を慰めるのかもしれません。
わが家は周辺環境と学区だけを考えて、28年前に新築一戸建てを購入しました。
ずっと住むつもりだったので家の価値について、ほとんど深く考えていませんでした。
夫36歳、私が31歳。
不動産の勉強などをロクにすることなく「欲しい!」という気持だけが先行して購入しました。
定年までに払い終える予定でローンを組んだので借金はありません。
でも、ローンが当時の家計を圧迫していたのは間違いありません。
現在も住んでいるわが家を、本格的に査定してもらったことはないのですが、人気のエリアとしてブランド力があったのは25年前までのこと。
今では空き家が目立つようにもなり、査定価格も購入代金の1/3程度のようなのです。
その上、これまでに修繕やらリフォームを数回しており、その費用だってトータルでウン百万円かかっています。
それでも、一度便利で快適な経験をしてしまうと不便や我慢をしたくないのが人というもの。
独立した娘は、それまで文句ひとつ言わずに暮らしていたのに、「冬は寒くて実家には行けません」と言って帰ってはきません。
その気持ち、私にもよくわかります。
だってトイレもお風呂も行くのでさえ、寒さで腰が重くなります。
朝一番の洗面室は「根性」という名がふさわしいほど、気合が必要です。
高齢者がトイレや浴室でヒートショックを起こすのも無理はありません。
時々、明日は我が身かと思うこともあります。
またお金をかけてリフォームすれば改善されるのでしょうが、きっと100万円以上の仕事となります。
持ち家も大事に住もうと思えば、それなりの維持費が必要だということです。
わが家の場合、次は給湯器が壊れたらトイレとバスルームのリフォームのタイミングかもしれません。
勢いのある若い時には感じなかった不便さが、この歳になると住みづらさを感じるようになります。
去年、妹夫婦のマンションをリノベーションしたのですが、とても快適そうです。
真冬のキッチンに半袖シャツ姿で料理する義弟を見て、マンションの気密性の高さに驚きました。
最近、知り合いの50代夫婦が、続けざまに終の棲家を建てたと聞いて羨ましいかぎりです。
子育てを終えて、定年退職も視野に入れば、老後をどう暮らすか改めて考え始める時期でもあります。
そのためには、家にどれだけ費用をかけられるのか、試算することとお金を残すことが大事になってきますよね。
私はというと、犬と散歩しているときに小さな庭がある小さなお家を見つけるのを楽しみにしています。
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