<この体験記を書いた人>
ペンネーム:パイソン
性別:男
年齢:68
プロフィール:自営業を営んでいる普通のおじさんです。実母の部屋が宝探し部屋になり困っています。
私は自営業を営む68歳の男性です。
今年88歳になる実母がおり、同居していました。
母はずっと健康で、ほぼ病院のお世話になったことのない人でしたが、昨年末に突然、肝臓にがんが見つかり、そのまま入院することになりました。
会話はでき、食事も取れてはいるようなのですが、想像したよりも容体が思わしくなく、高齢ということもあって「もうご自宅には帰れないと思ってください」と病院の先生に言われました。
最初このことは母には内緒にしていたのですが、うすうす感じるところがあったのか、母は「私の部屋を片付けて欲しい」と病室で私と妻(66歳)に頼んできました。
私達も病院の先生に言われた当初はどうすればいいのか逡巡していたのですが、そんな母の言葉を受け、妻と母の部屋を片付け始めることにしました。
基本的には整理整頓が好きな母だったので、割と早く終わると予想していたのですが...思ってもみないことがおこりました。
いろいろなところからお金が出てくるのです。
枕のカバーに千円札が縫い付けてあったり、鞄が二重底になっていて二千円札が三枚が出てきたり......。
お正月に神社で買ったお守りの中から、二万円が出てきたこともありました。
思い起こせば、20年ほど前に亡くなった実父(当時63歳)がよく言えば節約家、悪く言えば少々ケチなところのある人で、お小遣いなどは一切くれたことのない人でした。
そんな父に内緒で、母は私や他の兄弟にお小遣いを手渡してくれたりしていました。
私自身も父の反対を押し切り、上京したことがあったのですが、その際にも母は父には内緒だよと、小さく折りたたんだ跡のあるお札を数枚手渡してくれました。
今思えばあれは父に内緒で貯めたへそくりを、私達兄弟に渡してくれていたのではないかと思います。
そう思うと掃除中にも関わらず涙が出そうにもなりましたが、実際問題、母の部屋の「思いもよらないところからお金が出てくる」ことには戸惑ってしまいます。
一か所から見つかるお金は「多くて一万円」ほどなのですが、少額でも数が多いためそれなりのお金になってきます。
しかも病室で寝ている母に尋ねてみても、「そう言えばそんなところに隠したような気もするわ」と笑うだけで、どこにいくら隠しているのかなどはいちいち覚えていないようなのです。
ある意味宝探しのような掃除なのですが、簡単にものが捨てられず片付けが進みません。
お金のことは気にせず、片付けようか......と考えてはみたものの、やはり性格的にそんなこともできません。
母にもしもの時が訪れる前に、片付けることができるのか?
そう思うとため息ばかりです。
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