<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ひろえもん
性別:女
年齢:54
プロフィール:猫4匹と夫と明石海峡大橋のたもとで、船の汽笛を聞きながら、ボーッと暮らす関西人のおばちゃんです。
夫は私にわからないように財布から小銭を盗む人間です。
以前も、財布を机の上にほったらかしにしていると、100円玉が全部なくなり代わりに1円玉が増えていたことがありました。それでも人間だから勘違いもあるのだろうと思っていたんです。あのことが起きるまでは。
ある日、ATMで13万円を引き出した後、お札をそのまま明細書にくるんで財布に入れておきました。その夜、何気なく財布の中身を確認すると10万円しか入っていません。
でも明細書は確かに13万円引き出したことになっています。
我が家には夫の他には4匹の猫しかいませんので、とりあえず夫に「なんかな、財布の中のお金が3万円足りないんやけど知らん?」と聞きました。
すると夫は今まで見たことのないような鬼の形相で、「知らん! お前、おれを泥棒呼ばわりするんか?」と大声で叫んで、本気で怒り始めました。
私はびっくりして思わず「せやなあ。ごめん、ごめん。ATMも間違うことあるねんなあ」と答えたのですが、やはりどうも腑に落ちません。
そのとき、ふと私の目に入ってきたのは、玄関にある夫のスニーカーでした。
いつもは、あちこちに脱ぎ散らかしてあるのに、その日はやけに行儀よく、左右きちんと揃えてあったんです。
ん? もしかして?と思い、スニーカーをチェックすると、なんとソールの下に3万円を見つけたんです! 腹が立ったというよりも、さっきのまっかっかな赤鬼のような夫の形相が、迫真の演技だったことのほうが面白すぎて、思わず吹き出してしまいました。
「なかなか、やってくれるやんか」と思い、ソールの下から3万円を抜き取り、代わりにそっと3千円を忍ばせておきました。
翌朝、夫がニヤニヤしながら「なあ、気づいたん? アレ気づいたんや?」と近寄ってきたので「え? 何がやの?」と答えると、「え、気づいたんやん。気づいたんやろ?」としつこくつきまとわれました。
ですが私は「なんやの? 何のこと?」と最後までしらをつき通しました。
すると、夫はキツネにつままれたような顔をして、そそくさと2階に退散していきました。
「まったく、カエルの面になんとかとはこのことやな!」と思いながら、ある日友人にそのことを相談したら、「あ! うちは夫が私の財布からお金盗んだの知らずに、早朝タクシーに乗って空港に着いて財布開いたらお金なくて、払えんかったことある!」と。
「そっちのほうが悲惨やろ!」と友人と大爆笑になりました。
今後は私も早朝旅行に出かける前は、念のため財布の中身を確かめようと思います。我が家のあのカエル夫が反省してるとは考えにくいので。
■おすすめ体験記
「息子夫婦にお金を吸い上げられた!」自分の記憶を「書き換え」て暴走する義母にウンザリ
「生活費必要?実家なのに?」離婚して子連れで戻ってきた娘との大ゲンカの結果は...
「おなかが痛い」3日後に高校受験の息子を襲った悲劇と、逆境でもたらされた奇跡
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。