<この体験記を書いた人>
ペンネーム:向日葵
性別:女
年齢:52
プロフィール:最近、老いた実家の両親のことが気がかりな、2人の子ども&夫と暮らすマイペース母さんです。
実家の父は、現在75歳。
昔からスポーツが得意で、私が子供のころは近所の子供たちに野球を教えていたこともあり、仕事を引退した後も実年齢に見えない若々しさを持っていました。
そんな父の老いを顕著に感じさせるきっかけになった出来事は、1年ほど前におこりました。
近所を散歩中に砂利道で転んで救急車で運ばれたのです。
「足腰が丈夫な父が、転んで救急車で運ばれた」
その事実は、かなり衝撃的でした。
転んだ時に頭を打ったため脳外科に運ばれて検査を受けましたが、幸い大事には至りませんでした。
しかし、その後、父の物忘れがひどくなって行ったのです。
私が様子伺いに電話をすると、数日前に電話しているのに「しばらく声を聞いてなかった」と言ったり、前回話した内容をもう一度言ったり。
「あれ? 物忘れが酷くなった?」と感じさせる言動が増えてきて心配していたのです。
そして、最近になって車で出かけて道が分からなくなることがしばしば起こってきました。
私の家は、実家から車で30分の距離にあるのですが、家に車で遊びに来ようとして見当違いの方角へ行ってしまい、とうとう辿り着かなかったことがあったのです。
これはいよいよ一度脳外科で相談してみた方が良いと思い始めた時、事件は起きました。
「お父さんが夕方買い物に行ったきり、夜になっても帰ってこない」
ある日の夜、母から連絡があり慌てました。
時間は既に22時を回っていて、普段なら父は寝ている時間です。
すぐに父の携帯電話に電話をすると、何回目かにやっと父が出たので、ホッとしたのも束の間、「家の近くの道路の段差から車が落ちてしまって帰れない」というではありませんか。
「ケガは? 大丈夫なの!?」
心配のあまり思わず大声が出てしまいましたが、ケガはないとの返事で、ホッと胸をなでおろしました。
私が向かうよりも早く父のもとに行ける弟に電話をして、先に事故現場に向かってもらうことに。
20分後、車で実家に向かっている途中で弟から「もう家に戻って来たから大丈夫」と連絡があり、そのまま実家に向かうと疲れてしまったのか、父はもう布団に入って寝ていました。
弟に車がどんな状態だったのか聞いたところ、道と畑の50センチくらいの段差に車の前方が落ちた状態だったとのこと。
父はシートベルトをして途方に暮れた様子で運転席に座っていたそうです。
なぜすぐに電話をして助けを呼ばなかったのか弟が聞いたらしいのですが、どうもバツが悪くて連絡をできないでいるうちに、夜になってしまったようです。
これはただの物忘れの域を超えていると感じた私は母や弟とも相談し、父を脳外科に連れて行くことにしました。
そして診断の結果は「アルツハイマー(病)」。
診断がついたことで母や弟と相談し、これ以上車の運転をさせるのは危険だと判断しました。
つまり「父の運転免許を返納しよう」という話になったのです。
ただ、問題は父がすんなり納得するかどうか、です。
実家の周囲は交通の便が悪く、買い物や病院通いも全て車が必要です。
いままで自分で運転してすぐに行けたのに、それが出来なくなる不便さは相当なものでしょう。
なによりトラックの運転手をしていた言わばプロドライバーの父が、運転免許を失くすのです。
その心痛は察してあまりあります。
はたして父は、免許返納を受け入れてくれるのだろうか?
悩んだ末、このままでは危険なので運転をしてほしくないこと、運転免許を返納してほしいことを、ストレートに言うことに。
緊張しながら伝えた結果は...。
父はすんなりと納得してくれました。
逆に、色々なことを考えていただけに、拍子抜けしたほどでした。
でも、こうして免許を返納できたことは、本当によかったと思います。
私もいつかは直面するであろう運転免許返納の選択。
父の一件で、あらためて考えさせられました。
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