<この体験記を書いた人>
ペンネーム:きゅん
性別:女
年齢:42
プロフィール:夫と二人暮らしの公務員。
実家の父が「買い物依存症」ではないかと心配しています。
70歳の父は団体職員でしたが、去年の春に再雇用の契約更新をせずに退職しました。
その後は家でゆっくり過ごしています。
勤めていた頃の父は「出掛ける」ことが好きでした。
友達との食べ歩きや一人でのドライブを楽しんで、「買い物」に行くのはお正月の支度をするときくらいだったんです。
けれど退職後は、一緒に過ごしていた友達が施設への入所など、様々な理由で一人二人...と減っていってしまいました。
それが寂しかったのでしょう。
父はめっきり外出が減り、家にいる事が多くなりました。
そんな様子を良くないと思った母が、父にしばしば「お使い」を頼むようになったのです。
初めの頃はしぶしぶだった父。
しかし頼み続けていると、いつの間にか自分から買い物に行くようになりました。
この分なら父も元気が出て、母も買い物が楽になると思っていたのですが......。
ちょっと方向が違ってきてしまったようなのです。
父が寝室として使っている部屋を、母が掃除している時のこと。
母が袋や箱に入ったままの物を見つけました。
せっかく買ったのだから開けて使えばいいのにと思って、父に「何買ってきたか見せてよ」と声をかけたそうです。
「勝手に開けていいよ。欲しいと思って買ったけど、買ったら満足しちゃった」
その時は母も衝動買いをしたのだろうと、使える様に封を切って片付けたそうです。
ところが......その後も同じ事が続きました。
さすがに変だと思い始めた頃、頼んだ覚えのない家電品が届きました。
家にいた父が受取りましたが、やはり封を開けようとしません。
母が「何買ったの?」と聞くと「アイロン」と、驚きの返事が返ってきました。
アイロンは壊れていないし、父は使った事もないのです。
箱を開けてみると、テレビショッピングで見た事のあるハンディータイプのスチームアイロンでした。
どうして注文したのか?
不思議に思って母が聞くと
「便利じゃない。アイロンかけたくなるかも知れないと思ってさ」
父はサラっと言ったそうです。
でも、そのアイロンは未だに使われていません。
その後も、布団乾燥機を頼んで「布団がふかふかになるよ」と言ったものの、箱も開けずに放ってあります。
父らしくない行動ですし、使わない物や余計な物が増えて行く状況に母も不安になってきています。
一つ一つは高価な物ではありませんが、今後も続くけば負担になる事も不安要素になっているようです。
私も実際に買った物を見せてもらいましたが、父の心情が心配になりました。
父を傷つけずに理由を聞いて対処するにはどうすればいいか考えています。
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